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公開日:2025.06.05

森野在住松井さん
「誰もが農業」仕組みづくり
次世代へ可能性示す

  • 「町田の特産物にしたい」と話す白タマネギを掲げる松井さん

  • 効率化を目指し使用している電動草刈り機

  • 三井さんが運営する飲食店の前で納品するタマネギを紹介する松井さん(左から2人目)

 森野在住の松井優一さん=人物風土記で紹介=が誰もが農業に取り組める仕組みづくりを進めている。最先端の技術を用いて効率的な農業を実践し、次世代が取り組みやすい前例をつくっていきたいとしている。

 「私たちの食を支える農家が減っていることに危機感を覚えたんです」。そう話す松井さんが町田を拠点に取り組みを始めたのは2021年。農業に関わる仕事に就くなか、高齢となった農家が廃業してしまう姿を目にする機会が増えたことがきっかけだった。後を継がせないのは「稼げないから」という理由であることが多いと耳にし、農業を大学院まで学び、仕事で関わってきた者として、「そんなことはない」という思いが高まっていくように。自ら農業で稼ぎ暮らしていけることを示したいと考えた。

 そして、その実践の場に選んだのは生まれ育った町田。農作物産出額、耕地面積が共に国内最下位である東京で「都市型農業」として成功事例をつくることができれば、誰もが取り組めるものとして農業をより示すことができると思ったという。

 上小山田町の畑を借りると1年間で2度の収穫期を迎えることができる二毛作をスタート。電動草刈り機や生産管理システムなどを用いて、ブルーベリーやサツマイモ、タマネギの栽培を始め、4年目となった現在は町田市内の直売所に農作物を納品するほか、育てた野菜を飲食店で使用してもらうようになった。

 農家の生まれではない自分が農業に挑戦することにも意味があると考えているという松井さんは「農業に関するコンサルティングなども行っているが、新しい農家の形として別の生業をもつことも示していければと思う。いずれ町田の特産物になるものも生み出していきたい」と意気込みを話す。

注目も

 松井さんの活動は注目を集めている。農作業の生産性向上に取り組む事例としてや起業家として、その活動がTVなどで紹介され、応援者も増えてきた。

 松井さんが育てたタマネギを使用している中町の飲食店「ペダラーダ」を運営する三井康弘さんは「共に地域を盛り上げたいという思いをもって使用させてもらうようになった。みずみずしくておいしい。みなさんに喜んでもらっている」と笑顔。松井さんの農業法人が入る創業支援施設「町田新産業創造センター」の滝口進さんは「活動を応援し続けていきたいと思う」と話している。

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