大和田町で起こった強盗殺人事件を追い続けてきた刑事で、3月に定年退職する 岩城 茂さん 都内在住 59歳
無念残し、使命引き継ぎ
○…3人の従業員が無抵抗のまま拳銃で殺害されたスーパーナンペイ事件。1995年の発生から10年以上経過してから関わり、「新たな糸口を」と地道な捜査を重ね、参考人の話を聞くため、カナダに渡ったこともあったがいまだ未解決。「犯人像が絞り込めないでいる。被害者、遺族に申し訳ない気持ちを持ち続けてきた」。退職前に残る無念。「逮捕を」後継者に引継ぎしていくことを誓う。
○…通称、「マル暴」と呼ばれる暴力団対策の部署に長く在籍してきた。大きな声でスキンヘッド。強面の相手にも負けない迫力をもつが、弱いものいじめを嫌う心をもつことが警察官として一番の強み。新宿など日本でも有数の繁華街などを担当してきたが、相手に対して怖いという感情を抱いたことはなかったという。「職務ですからね」。空手道を追求してきた体育会の黒帯。ぶれない心をもつ。
○…伊豆の港町出身。漁師の息子として育ち、「地元が一番」が口癖だ。コロナの感染が広がる前は毎月のように実家へと帰省し海に潜ったり、釣りを楽しんだり。田舎が多忙のなかの息抜きになってきた。そんな自然児。大雑把にみえて実は気遣いの人。関わる一人ひとりの細かい内情を把握し、事あるごとに声をかける。人情派といわれるゆえんだ。
○…退職まで残りわずか。「使えない刑事だった」とこれまでの警察人生を振り返る。そして、ナンペイ事件を解決できず、「反省しかない」とひと言。ただ、多くの人たちの力になっていたことは退職を惜しむ声が絶えないことが表す。最近、自宅近くの空手道場に入門。段もちを隠し、「白帯から。途中で驚かせようと思って」。怖さよりもお茶目。そんな刑事が去る。
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