八王子 人物風土記
公開日:2022.05.12
任意団体を立ち上げ、先月開所した「yottette(ヨッテッテ)」を運営する
沼崎 道子さん
子安町在住 56歳
弱音受け止め、支えに
○…「誰にとっても居場所になれる場所」。拠点づくりで選んだのは、実家の隣の空き家。幼少のころはここに写真店があり、お店のおじさんが子ども好きで近所の子が集まる場所だった。勉強も教えてもらった。「そのおじさんの家を再現した」。好奇心が旺盛。ここに住みながら、やりたいことはこの場所に詰め込む勢いで、さまざまな計画を進める。
○…結婚後、生まれた子どもに障害があり、「顔も見れないまま、生まれたその日に心臓の手術だった」と振り返る。離婚も経験し、自信をすっかり失っていた。スーパーでパート勤務中、年配のお客さんに「ありがとう」と言われるのがうれしくて、介護の仕事へ。今は市の嘱託の業務をしながら、地域活動に精を出す毎日だ。
○…今振り返ると「当時は何でも抱え込んでしまって、誰かに相談するのが苦手だったのかも」。人に対して弱音が言えるようになったのは50歳を過ぎてから。次第に、助けてくれる人が身近にいることに気づき始めた。この春、開所した拠点も多くの仲間に支えられて実現。福祉の仕事で気づいたのは、困っていても声をあげられない人が多いこと。「聞いてあげるだけでも楽になる」。弱音をポロリと吐ける居場所を目指す。
○…「子ども同士が年齢を超えて盛り上がれる場所。駄菓子屋コミュニティですね」。子どものころは、子安町だけで5、6件は駄菓子店があった。「今の子にはそういう場所がない。駄菓子屋さんもないし、子ども会も減った。地域のつながりみたいなものが薄くなっている」。理想は、今来てくれている子たちが大人になっても手伝ってくれること。「そうすれば、自分が歳をとったとき面倒をみてもらえるでしょ」と笑う。
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