多摩少年院(緑町)の院長に今春着任した 池田 一(はじめ)さん 緑町在住 58歳
伴走者のプライド、胸に
○…少年院の職員である法務教官、特に幹部は全国に赴任することになるが、偶然にも八王子での勤務は3度目。通算7年目となる。「だから第二の故郷かな」。すでに巣立っているが、子ども2人は八王子の小中学校を卒業している。「あいさつ回りなどでお会いした際に覚えていてくれることが多くてうれしい」
○…父親は中学校の体育教員だった。「不良の生徒の家まで行って、学校に連れていったり。怖かった反面、生徒から慕われていた」。他界した後も、教え子が墓参りに訪れることも。大学で社会福祉を専攻する中、少年院の施設実習をする機会があった。もともと子どもが好きだったこともあり、「少年院の先生になろう」と決意。父親とは異なる形で教育に関わることになった。
○…広島、仙台、沖縄などいろいろな場所で勤務。「それぞれいい文化があり、人情があった」と振り返る。土地に精通する目的も兼ね、散策するのが趣味。まずは自ら地域を好きになる。そうすることでまず、その地方出身者が多い職員が、そして地域の人も受け入れてくれる。「そんな気がする」。それが更生につながる。院を出た後の少年たちを託せるのは、地域社会だと信じる。
○…得意とするユーモアを交えた会話には、重いテーマと向き合う仕事柄、「相手が緊張しすぎないように」という思いも。かつて在院生から「どうせお前らはいなくなるんだろ」と言われてドキリとした。「言い返せなかった。『違う』とはいえない」。院では24時間365日体制で少年たちと向き合うが、社会に戻った後、向き合ってくれる大人はいないかもしれないと危惧する。「『教育してやろう』と力むと、子どもたちはついてこない。自分たちは伴走者。主役は彼ら」
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