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公開日:2026.10.22

桑都の杜 刑務所の桜 ベンチに 更生見守った木に新役

  • 三澤さんとサクラのベンチ

    三澤さんとサクラのベンチ

 子安町の八王子医療刑務所跡地に10月3日にオープンした「桑都の杜」(八王子中央公園)内に、かつて敷地内にあったサクラの木を活用したベンチが設置された。手がけたのは元八王子町にある「木工房三澤」の三澤正孝代表。長年にわたり受刑者の治療と更生を見守ってきたサクラが、公園利用者の憩いの場として新たな命を吹き込まれた。

 ベンチは小さいもので横幅70センチ、一番大きいものは横幅2メートル50センチまでの大小合わせて全12基。施設整備に伴い伐採された13本のソメイヨシノから、三澤さんが選りすぐった木材で制作された。設置場所はコア施設「杜のセンター」裏手の「歴史の山」エリア。医療刑務所時代の高い塀の一部もそのまま保存されているなど、土地の持つ歴史や記憶を次世代へ伝えるコンセプトの空間となっている。

更生の歴史残したい

 制作のきっかけは2023年、同施設の明瀬聖志統括マネージャーが、市内で地場産材を使った木工製品を手がける三澤さんに相談を持ちかけたこと。「ただ伐採してしまうのではなく施設内で活用したい。受刑者や職員が、更生施設として前向きに誇りを持って運営されていた歴史(レガシー)を残せれば」との思いからだった。子安町で生まれ育った三澤さんも、幼少期に高い塀の隙間から垣間見えた満開のサクラの風景を鮮明に覚えていたという。

 2024年に2回に分けてサクラの伐採が行われ、三澤さんは乾燥から納品まで約1年を費やした。ベンチ制作は初挑戦だったが、高尾山口駅前にある「高尾山ふもと公園」のケヤキのベンチを参考に、丸太を断ち割ったような形状に仕上げた。街中で育った木は生存競争の激しい環境で育つ山木に比べ成長が早い反面、年輪幅が広く強度の確保が難しいため、元の木の雰囲気を残しつつ安全性を担保する加工にこだわったという。

 三澤さんは「主役は公園を訪れる皆さん。このベンチに座りながら様々な人生のドラマが生まれるのを陰から支えられるアイテムになれば」と期待し、また「先祖は明治初期から代々、子安町で宮大工をしていた。自分の代で地域への恩返しができた」と感慨深げに語った。明瀬さんは「土地に縁と思いのある方に作っていただけて良かった。今後は市民の皆さんと一緒にベンチのメンテナンスをするワークショップなど、この場所を使ったイベントも実施したい」と、ベンチが地域で長く愛される未来を見据えた。

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