人事停滞、士気低下、行政の選挙運動化… 意見広告 「多選の弊害」検証すると… 大和市議会議員 小田 博士
◇「4期16年にわたって、まちの独裁者として君臨することが、果たして市民のためになるのか。まともな姿なのか」
2007年4月の市長選。現在の市長が強く訴えたのはこの点でした。選挙公報では「あなたは市長の多選に賛成ですか?反対ですか? 多選反対」と大きく展開。「多選反対」は主要な公約と受け止められました。翌年9月には市長の在任期間を連続3期までに努めるとする多選自粛条例が制定されました。
それから10年。18年1月の記者会見では「(多選に該当するかは)時代と人物によって変わる。今は4期も珍しくない」と方針転換を示唆。同年8月の記者会見では「私から見て独善的な組織運営、人事の偏向がなかった」と強調しました。
19年3月議会では多選自粛条例の遵守を求める陳情や決議が可決されましたが、現市長はそのまま出馬。当選後の12月議会では、議員提案によって多選自粛条例が廃止され、長期政権に対する足かせはなくなりました。
◇「多選批判は『こんにちは』と同じようなものだ。それは現実だ」
現市長は先の3月議会の本会議で、諭すように本音を打ち明けました。
地方行政に詳しい大森彌・東京大学名誉教授は、多選の弊害について【1】エネルギーやアイデアの枯渇【2】独善的傾向と政策の偏り【3】人事停滞や側近偏重による職員の士気低下【4】議会との緊張感欠如【5】日常の行政の選挙運動化-を挙げています。
たとえば、【3】については、職員から「士気低下」の声を耳にすることがあります。副市長の一人は4期目(1期4年)に入っており、県内でも異例の長さです。
市政の実績を宣伝する中吊り広告が、今月3日から小田急線の各車両にお目見えしました。9日まで1週間掲示され、予算は約110万円ということです。市内約250カ所の市広報PRボードにも同種のポスターが貼られています。市側はシティセールスの一環だとしていますが、【5】に該当するとみる向きは少なくないでしょう。
一方、昨年の12月議会では、市長に対する問責決議や辞職勧告がそれぞれ可決されました。【4】は当てはまっていないかもしれません。
私は市長に花道を飾ってもらうべく、多少のことには目をつぶってきました。引退するのであれば、これまでの功績に感謝して和やかに送り出したいと考え、3月議会でも感謝の意を表しました。なので、突然の撤回表明に大変戸惑いを覚えました。
◇「市長も人間である以上、長期間その職にとどまることには弊害が考えられる」
これは15年前に現市長が市議会で語った発言です。「政治家は言葉が命」とも言われますが、市民の皆さんはどう考えますか?
|
|
<PR>
|
|
|
|
|
|
|
<PR>