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大和 社会

公開日:2025.12.26

合計特殊出生率
大和市は高水準を維持
県全体で低下、地域差鮮明

 神奈川県は4日、県内の人口動態をまとめた「令和5年神奈川県衛生統計年報」を発表した。1人の女性が生涯に産む子どもの推定人数を算出する合計特殊出生率(以下「出生率」)が、前年の1・15から1・11へと低下する中、大和市は1・23(前年1・32)と前年比で数値を落としたものの、依然として県平均を上回る高水準を維持している。

 大和市の出生率は、横浜市や川崎市(ともに1・10)といった政令指定都市や、厚木市(1・09)、座間市(1・06)などの近隣市と比較して高い水準にある。県内市では海老名市(1・28)と藤沢市(1・26)に次ぐ上位に位置している。

 海老名市は前年の1・44から数値を下げたものの高水準を維持し、綾瀬市は前年の1・13から1・19へと県内19市で唯一数値が上昇した。同じ県央地域で大和市とほぼ同じ人口規模の厚木市はこれら近隣市と比較して低い水準にとどまり、子育て世代の動向に地域差が生じている現状が浮き彫りになった。

 大和市は高水準のグループにあるとはいえ、数値は前年より低下している。これは全国的な少子化という構造的課題が、同市にも迫っていることを示唆している。

 同市の過去の合計特殊出生率は、2005年から増加傾向で推移したが、15年の1・46をピークに減少傾向が続いている。

 大和市を含む高水準グループは、こうした少子化の波に抗い、地域社会の活力を維持する上で重要な「防波堤」にもなり得る存在ともいえる。

 厚生労働省の人口動態統計や国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、少子化の主な要因は、未婚化や晩婚化(平均初婚年齢は夫31・1歳、妻29・7歳)と、それに伴う晩産化の傾向といわれる。さらに、「子育てや教育にお金がかかりすぎる」といった経済的負担への懸念が夫婦の理想とする子ども数(平均2・25人)と予定する子ども数(平均2・01人)との間に差を生み出す要因となっている。

 今後、大和市をはじめとする自治体が、賃金上昇や雇用の安定といったマクロな課題に対し、地域独自の住宅・教育コスト軽減策や地域全体での育児支援策をいかに実行し、若年層の経済的・心理的な不安を取り除くことができるか。それが高水準を維持し、さらには出生率を回復させるための鍵となりそうだ。

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