「第40回記念全日本水墨画秀作展」で経済産業大臣賞を受賞した 鈴木墨章(ぼくしょう)(本名章博(あきひろ))さん 上今泉在住 68歳
静と動を持つ水墨画家
○…「これは層雲峡で、これは裏磐梯桧原湖ですね」。経済産業大臣に文部科学大臣賞、衆議院議長賞、県知事賞と受賞歴は数えきれない。薄い墨で下絵を描き、何度も重ね陰影を出す。和紙の白を生かしながら最後に雲や霞を入れる手法でこれまでに100点を超える作品を生み出してきた。「描いている時”無”になれる。現地で感じた自然の静けさなどが再現できた時が最高です」
○…水墨画との出会いは平成元年。体験教室への「参加者募集」の文字を目にし、元号が変わったのを機に新しいことを始めようと参加したのがきっかけ。幼いころ母親の実家で目にしていた掛け軸や屏風絵などが記憶の奥にあり「いつかは描きたい」と考えていたところでの偶然の出会いだった。会議室に入ると黒板の上に飾られた横長の水墨画。「いつかあんな絵が描きたい」と一目惚れ。半年の講習終了後、講師であった故小田喜五耕氏に師事した。
○…生まれは長野県。小中学校時代は野球、高校ではバレーボール部に所属しアタッカーでキャプテンを務めた。勉強も常にクラストップで、高校2年の時には生徒会副会長に選ばれるなど成績だけでなく人望も厚かった。海老名に移住してからも地域の仲間とともにソフトボールチームを作り市ソフトボール協会の立ち上げにも関わった。「地域の仲間づくりのために始めた」と当時の集合写真などが収められたスクラップブックを開く。70歳を過ぎても続けるつもりだったが体調の変化から50歳で断念。以来、年に2回の旅行と3作品のペースで描く水墨画がライフワークになった。
○…「今後も日本の豊かな自然を残したい。描きたいことが頭の中に山ほどあります」。溢れる創作意欲とともに優れた和紙や香り立つ墨、墨もちの良い筆を作る職人の減少を憂う。「感謝しながら描いていきたい」。今は筆職人に依頼した専用の「墨章筆」の完成が待ち遠しい。
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