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厚木・愛川・清川 人物風土記

公開日:2012.10.26

東町スポーツセンターで「なぎなた教室」を主宰する
中野 良子さん
厚木市なぎなた協会会長 86歳

薄氷の上を歩くように



 ○…今年から中学校体育の必修授業に武道が盛り込まれ、関心が高まってきている。夏休みには相川小で児童になぎなた教室を開いた。「厚木市なぎなた協会」を1977年に立ち上げ、会長として会員29人を引っ張る。東町スポーツセンターで週2回教室を主宰。身体を左右対称に使うため、両方同じように発達し、健康にもいいので長続きするという。「奥が深い。過激ではないところがいいですね。大事な呼吸の仕方が分かり、姿勢がよくなる」と魅力を力強く話す。また、繰り出し、繰り込み、残心など基礎となる「手の動きや止め」が重要だという。



 ○…武道の必修化を受け、「ちょっと遅いですね。もっと早くやってくれれば良かったかな」。なぎなたを始めたきっかけは、小田原高等女学校時代に正課の授業として決まっていたから。「わりあい好きだったんでしょうね」と初めてなぎなたを握ったときのことは今でも忘れないそうだ。「型に品格や風格が出るようになればたいしたもの。今はそんな人が少なくなったね」と少々手厳しい。



 ○…「油断すると負けてしまう。ドキッとするくらいオーラがある」と会員は口を揃える。今でも力の衰えは感じさせない”現役”だ。なぎなたを通して一番伝えていきたいことは、「気」だ。「自分の気を乗せなさい。気を乗せれば集中できる」と神妙な面持ちで話す。指導にあたるときは、「いつでも動けるようにボートの上につま先で立っていられるか。そのような状態を保ち、薄氷の上を歩くように」と言っているそう。



 ○…「男子と遊んでばかりいた」という活発な幼少時代。教員養成所を卒業後、嘱託教授に。なぎなた一筋。「なぎなたは生きる気力。これを取ったら何にも残らないよ」と笑う。今年1月には市教育委員会スポーツ功労者表彰を受けた。段位は「教士」。「右と左が分かれば誰でもできる。知っていることは全部教えるよ」と頼もしい。海老名市在住。

 

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