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厚木・愛川・清川 人物風土記

公開日:2025.02.14

古民家山十邸の「ひな人形とつるし雛展」に作品を展示する手芸サークル代表を務める
飯田 愛子さん
愛川町中津在住 83歳

思い込め、ちくちく針仕事

 ○…一つずつ手作りで縫い上げた「つるしびな」を、桃の節句に向けて古民家山十邸に展示する手芸サークル代表を務める。同世代の5人と中津公民館で月2回、茶飲み話を交わしながら自分たちのペースで針仕事に精を出す。「完成すると誰かにあげたくて、手に取ってくれる人の喜ぶ表情を思い浮かべながら作っています」と穏やかに話す。

 ○…自宅から目と鼻の先にある山十邸は、60歳から10年間を館内職員として勤めた思い出深い場所。「町民から寄贈されたひな人形を展示するのに合わせて、じゃあ私たちもつるしびなを飾ろうと思って」と始めた活動も14年目。「新しい飾りを増やしたいけれど、もう年だから難しい」と残念がるが、自宅の居間には作品が表紙を飾った「広報あいかわ」の切り抜きが誇らしげに飾られている。

 ○…栃木県の米農家に生まれ、8人のきょうだいとにぎやかな少女時代を過ごした。幼いころから手先が器用で、「裁縫は学校でも褒められた」と懐かしむ。中学卒業後に縁あって厚木市内の紳士服店に就職。度々店を訪れていた客と22歳で結婚し、愛川町に移り住んだ。「災害が少なくて気候もいい。圏央道のおかげで栃木に帰るのも楽になりました」と、夫との結婚生活と同じ歳月をこの町で過ごしてきた。

 ○…町の歴史を今に伝える建築遺産となった山十邸も、「町が買い上げる前は塀もぼろぼろで、お化け屋敷のようだった」。今では季節に合わせた手芸作品の展示に加え、「コスプレ」愛好者の撮影場所として多世代が足を運ぶようになった。「山十邸がいろいろな形で活用されるのはいいこと。展示を見に来た方が、サークル活動にも興味を持ってくれたらうれしいですね」

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