第60回神奈川県看護賞を受賞した 藤澤 なお子さん 神奈川工科大学勤務 60歳
心に寄り添う、看護の心
○…看護の世界で顕著な功績を残した人をたたえる神奈川県看護賞の受賞に、「先輩方が築いた歴史に名を連ね、恐縮する思い」と謙遜する。式典で看護学生から受け取った花束に、「何よりうれしかった」と頬を緩める。4月からは、神奈川工科大学の看護生涯学習センターで看護管理者の育成研修に携わる。自身の経験を踏まえ「一人で抱え込まず、皆で支え合う大切さを伝えていきたい」。
○…新潟県佐渡市の出身。「小中学生での保健委員の経験が、看護に興味を持ったきっかけ」と看護学校に進学。恩師の勧めで神奈川に就職先を求めた。その恩師も50年以上前に同じ賞を受けており、「時を経てつながれた気がして感慨深い」とほほ笑む。県立がんセンターの血液内科などで長年働き、病院勤務や県の看護師確保対策に携わるなど、その道一筋のキャリアを積んだ。
○…夫との2人で暮らす。休日は美術館や神社巡りが楽しみという。「自分のペースでゆっくり見て歩くのが好き。健康にも良いですね」と笑う。読書や映画鑑賞も大切な息抜きの時間で、最近では若いころに漫画で読んでいた「スラムダンク」の映画に感動し、当時を思い出して胸を熱くした。神奈川工科大学に赴任した今、楽しみなのは、キャンパスの12階にあるカフェから見える丹沢の山々という。
○…医療技術の進歩が目覚ましい現代においても、「看護はAI(人工知能)には代わることのできない、社会に必要とされる本当にやりがいのある仕事。若い人たちにも、その魅力と素晴らしさを伝えていきたい」と力を込める。今回の受賞を一つの節目ととらえ、自らの経験を存分に発揮しながらより良い看護教育の体制整備に力を注いでいく。