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公開日:2025.07.25

和田傳著書
令和版として復刻
現代語訳や注釈で工夫

  • 刊行された復刻版第1弾

 厚木市は、郷土出身で名誉市民でもある小説家の和田傳(1900-1985)の全集の中から未収録の児童文学5編を収録した短編集を7月1日に刊行。あつぎ郷土博物館と市庁舎市政情報コーナーで販売している。

 この復刻版は厚木市制70周年を機に刊行された。今回完成した『和田傳短編集【令和版】第1巻 少年少女に贈る5つの物語』(A5判・158ページ)は、5年間をかけて刊行するシリーズの最初の1冊。収録作品は『コジュケイのわな(1947年』『遠くのお友だち(1951年』『草々の蔭に(1942年)』『遠くの友だち(1944年)』『村のエジソン(1959年)』の5作品。旧字や旧仮名遣いを現代様式に改編。文字を大きくし、最新研究に基づいた解説などを注釈に加えた。また、農民文学者の和田傳の作品らしく、緑色の表紙にはトンボやカタツムリなどをあしらった。挿絵は当時のものをそのまま使用するため作者やその家族などに連絡し使用の許諾を得た一方、「令和版」としてより読みやすくするため、一部に写真などを追加した。

 500部製作され、あつぎ郷土博物館(厚木市下川入1366の4)と厚木市役所本庁舎市政情報コーナーで1冊200円で販売している。合わせて市立図書館や各公民館、市内各小中学に配架した。すでに同博物館には買い求める市民が訪れているという。

郷土愛育むきっかけに

 和田傳は1900年愛甲郡南毛利村恩名の農家で生まれ、1937年「新潮社文芸賞」を受賞。1954年に日本農民文学会の初代会長に就任するなど活躍し1980年に勲四等旭日小綬章を受章。1985年には厚木市初の名誉市民となった。

 農民文学の旗手として活躍した一方、児童文学の分野ではあまり知られていなかった。復刻を機に新たに調べ、学芸員が子どもから大人まで楽しめる作品を選んだ。和田傳の著作はほぼ絶版の状態で、市立図書館で借りられる書籍もわずかという。市文化魅力創造課では「和田傳が市民にとって遠い存在にならないよう、多くの方に親しんで欲しい。7月27日にはこの冊子を使った小中学生向けの講座も開催します。郷土愛を育むきっかけになれば」と話す。

 今後は『女性の生き方』『むらの偉人』『戦争とのかかわり』『農民のくらし』をテーマに1年に1冊ずつ刊行していくという。

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