第50回衆議院議員総選挙が10月27日に投開票され、区割り変更で新たな選挙区となった神奈川16区(伊勢原市、厚木市、海老名市)は、立憲民主党前職の後藤祐一氏(55)が10万677票を集めて6選を果たした。2021年の前回選挙で比例当選した自由民主党前職の義家弘介氏(53)は、後藤氏に3万票以上の大差をつけられて落選。自民党は09年の政権交代以降初めて、伊勢原市と厚木市で議席を失った。
後藤氏と義家氏の一騎打ちとなった前回と打って変わり、日本維新の会の新人・伊左次美江氏(63)、日本共産党の新人・山本瑞恵氏(57)、無所属新人の吉村勝男氏(69)を含む5人の争いとなった。
後藤氏は物価高対策をはじめ、党が掲げた防衛費削減による教育無償化、非正規労働者の正社員登用などの雇用対策に取り組む姿勢を強調。選挙戦の争点となった「政治とカネ」問題については、政策活動費や企業団体献金の禁止を訴えたほか、世襲廃止を掲げて政治の健全化を有権者に呼び掛けた。
義家氏は、派閥の政治資金パーティーをめぐる収支報告書への不記載問題を受け、比例重複立候補が認められず小選挙区のみでの選挙戦を強いられた。河野太郎氏や小泉進次郎氏なども選挙区入りしたが、前回より4万7千票近く票を減らすなど、政権や自らに対する逆風をはねのけられなかった。
「総合力の結果」
厚木市内の後藤事務所には開票30分前から40人ほどの支援者が集まり、開票結果を見守った。
午後8時3分に当選確実が報じられると、事務所内は大きな歓声に包まれた。拍手で迎えられた後藤氏は「裏金問題を中心とする追い風もあった」としつつ、「この3年間で取り組んできた物価高対策の実績、立憲民主党政権だったらできるという内容を皆さまが伝えてくれた。総合力の結果」とあいさつした。
16区ではこれまで義家氏と接戦を繰り広げてきたが、「負け勝ち負け勝ち負け勝ちときた小選挙区で、ようやく連勝できた。立憲民主党が伝えてきた分厚い中間層を作る政策を理解いただいた」と手応えをにじませた。
「大きな大きな重し」
同市内の義家事務所は、開票が始まっても支援者の数はまばらだった。早々に落選が決まり、8時20分すぎに姿を見せた義家氏。冒頭に関係者に感謝の言葉を述べ、「皆さまに重層的に支えていただきながら、どぶ板戦を展開してきた」と振り返った。
「政治とカネ」問題による批判の矢面に立った選挙戦だった。義家氏は「(裏金問題が)大きな大きな重しとしてのしかかり続けた。退路を断った戦いを続けてきたが、私の力不足に尽きる」と肩を落とした。今後については「今は心の整理ができていない。自らがどのような判断をしなければいけないのか、皆さまにしっかりと相談したうえで決断したい」と述べるにとどまった。
投票率前回下回る
16区の投票率は53・27%で、前回を2・08ポイント下回った。
本紙発行エリアでは、伊勢原市が52・99%(△4・73)、厚木市が51・01%(△3・17ポイント)、海老名市が57・06%(△3・37ポイント)だった。
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