食品廃棄物の循環型システムを事業化し、環境大臣表彰を受けた 小野 仁志さん 岩戸在住 45歳
全ては「なぜ?」から
○…毎日出る食品廃棄物。捨てればゴミだが、堆肥にしたら立派な資源。その堆肥で農家は作物を育て、収穫後は飲食店に卸す。この循環システムはその名も「ヤサイクル」。転機は生ゴミ処理機の販売代理店になった時。環境への知識は皆無だがこれなら社会貢献もできると思った。しかし世間には見向きもされず「なぜ?」と疑問を持った。環境を良くしたいはずなのに腰が重い。利点として作物の収穫やゴミ減量など手応えが分かるような”三方よし”の理想形を模索した。
○…一代で建設会社((株)横須賀軽金)を築き、この環境事業を始めて4年が経過した。軌道に乗る2年目まで採算は厳しかったが、現在、ヤサイクルのループは北海道から九州にかけて全国に27個ある。その業種はホテル・スーパーなど。市内のパン屋とも提携し、売れ残りのパンを堆肥化させて地元産小麦を栽培する活動にも携わっている。その他、堆肥の輸送、エコ野菜や果物を使用した加工品の流通を行い、各ループの橋渡し役を担っている。
○…数年後の将来像や目標数字を想像するのは嫌いだ。今後の事業展望は?と聞かれても「やりたいことをただやっていくだけ」と自らの信念を語り、「こなさなくてはいけない目の前の事柄にいかにすぐ気付けるかが大事」と話す。遠い理想を追いかけるより、足元を見つめ一歩ずつ堅実にクリアしていく。大手企業が成し得ていないこの事業の原動力だ。
○…以前は地域に目を向けず、ましてや表に出るような性格でもなかった。しかし、今では建設業以外の分野の人々とスクラムを組み、積極的に活動する毎日。環境問題は未知の領域が多いが賛同する団体は増え、そのループは着々と広がる。「若い頃は40歳くらいで第一線から退いて第2の人生を過ごしたいと思っていた」と振り返るが、その願いはヤサイクルの発展という良い形で裏切られ、忙しい日々はまだまだ続く。
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