横須賀市は、谷が入り組む谷戸と呼ばれる地域に芸術家を呼び込み「アーティスト村」として再生するユニークな事業に着手する。田浦泉町の旧市営住宅を改修して住居兼創作活動の場を用意。第1号として横浜市在住の土器作家の男性に入居してもらう。
土器作家の男性が居住
細い路地が入り組み、階段や坂道が多いなど横須賀特有の住宅街である谷戸地域は、人口減少や高齢化を背景に空き家問題が深刻化している。これの解消策として、上地克明市長が「アーティスト村構想」を選挙公約に掲げていた。地域活性化の柱に「アート」を据えて、谷戸地域の空き家に創作活動を行う複数の芸術家を誘致してまちの特色化を図っていくアイデア。地域交流の場としても機能させる。
谷戸再生事業の舞台となる田浦泉町は「温泉谷戸」と呼ばれるエリア。明治の頃は鉱泉が沸いており、温泉宿として湯治客などが訪れていたという。戦後に平屋の長屋建て市営住宅が建てられたが、老朽化が進んだことで3年前に使用停止となっていた。
市は今年度予算に空き家改修費用などの名目で1千万円を計上。現在、住居とアトリエスペースを整備している。汐入地区で空き家を活用した谷戸再生を独自に行っている民間有志の「谷戸再生プロジェクト」のメンバーがアドバイザーとして同構想の実現を側面支援。市と連携協定を結んでいる関東学院大学の学生も内装工事をボランティアで手伝う。
今回、移住モニターとして横須賀市美術協会の推薦を受けた土器作家の薬王寺太一さん(43)が、市と賃貸契約を結ぶ形で11月末から住み始める。「土器を焼く際に、周辺住民に迷惑がかからない場所を探していた」と薬王寺さん。人里離れた自然豊かな環境も創作意欲を掻き立ててくれるという。秋谷で採取できる粘土を用いた”地産地消”の土器制作など活動のイメージを膨らませている。このほかに、陶芸教室や屋外に薪窯をつくるワークショップなどで地域交流も図っていく。
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