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横須賀・三浦 トップニュース社会

公開日:2023.11.10

横須賀市
階段のぼれば新たな魅力
谷戸再生事業に2者選定

 道幅が狭く車の侵入などが出来ない丘陵地帯にある「谷戸」に交流拠点を創出するアイデアを募っていた横須賀市は、東逸見町在住の小川琳太郎さんと、汐入町の土地活用を行うプロジェクトチーム「Homiiie」(ホミー)の代表である室井達哉さんを今年度の補助対象者に決定した。それぞれに上限50万円の補助金を助成する。2者はこれを用いて地域活性化を図る場を生み出す。

 高台からの眺望など優れた景観を持つ一方で、階段の上り下りなどがあり地域一体や空き家率の高さが問題となっていた同エリア。市はこれまで売主と買主を繋げる「空き家バンク」や低価格で学生に居住地を提供し地域貢献をしてもらう「学生居住支援事業」などを通じて同エリアの活性化と振興を図ってきた。

 今回市が募集していたのは「谷戸地域コミュニティ再生提案事業」。法人や個人に補助金を支給し同エリアの再興につなげる施策を行ってもらう制度で、今年度は3件の応募から2者が選出された。

広大な庭にドッグラン

 小川さんは1年ほど前から居住している東逸見町1丁目の庭をドッグランやバーベキューなどが出来る場に、屋内では飲食が楽しめるカフェとして交流の場づくりを進める。「谷戸になじみが無い人は知るきっかけを、谷戸に住む人には活気を提供したい」と2024年春頃のオープンに向けて意欲を燃やす。また、同町の住民が作ったハンドメイド作品などを販売するフリーマーケット会場としても同庭を提供する考え。

 種々のイラストを制作し、販売する仕事も行っている小川さん。これを活かしてタブレットなどの専用アプリで作品をつくるデジタルアート教室の開講にも今後注力していく。高齢者層にデジタル領域に慣れてもらうことで「災害時の安否確認にも役立てたい」と話す。電子機器を通して各人の無事を確かめられれば、1軒1軒見回り確認をしなくても効率的な状況把握が可能に。「地域の見守り装置」とすることが狙い。

学びがある広場

 「空き地のような開かれた場は目的がなくても足を運べる場」と話すのは、汐入町の谷戸でシェアハウスやワークショップを行う物件をすでに3件運営している室井さん。4件目となる同町2丁目にある空地は、誰もが気軽に立ち寄れる「オープンスペース」として活用し普段の生活の中で自然と交流を生み出す役割を目指す。

 同敷地内の一角には「誰でも野菜を植えて育てられる区画」も構想中だという。ほかにも多様な植物を利用した染物のワークショップなどや各種イベントの実施などを計画している。これらを通して、ここでしか体験できないことを提供し、「学びがある広場」を目標に掲げる。

 また、災害時に避難所として住民が利用できる「防災空地」としても運用していく考えで、同チームでまちづくりの分野に精通している藤原香奈さんは「災害に強くない地域だからこそ必要な空間」と同広場の役割の重要性を説いた。

「ゼロイチ」共有

 用地は未整備だが今後、自由に使えるイスやテーブルを配置し、イベント実施などを通して空き地が広場に生まれ変わる過程を住民らと共有していく。「愛着を持ってもらいたい」と室井さんはこれからの展望に胸を躍らせている。

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