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横須賀・三浦 人物風土記

公開日:2026.04.24

「三浦三十三観音札所会」の会長を務める 今井 正純さん 三浦市南下浦町上宮田在住 73歳

  • 今井 正純さん (写真1)

掃き清め、祈り手待つ

 ○…戦後まもなく、代々続く寺の家系に生まれた。観音堂を起源とする寺ゆえ、近所の人たちからの呼び名は「観音様のせがれ」。観音を心の拠り所とするからこその、親しみを込めた表現だ。とりわけ三十三観音の本開帳ともなれば、境内は全国から訪れる参拝客で活気づく。いずれ棺に納めるさらしを手に朱印を求める人々の光景は、幼心にも信仰が暮らしに溶け込む温かな情景に映った。

 ○…寺を継ぐよう強要されたことは一度もない。だが、教師との兼務で多忙を極める父を支えたい一心で、自らの意思で仏教系の大学へ進んだ。都内の寺に住み込み、遊びたい盛りを学業と修行に捧げた4年間。そこで授かった教えは、学問の探求や朝晩の読経よりも、「掃除」が大切にされていること。一歩寺門をくぐれば、満ち溢れる俗世の喧騒を忘れさせる清浄な空気。この清涼感は、隅々まで掃き清められた環境があってこそ結実するものだ。「場を整え、心が整う」。時代が変わろうとも、この不変の営みこそ、仏教の揺るぎない本質だ。

 ○…教員を定年退職した父と入れ替わるように、念願の教壇に立ったのは24歳の時。湘南学院高校の社会科教諭として、約30年間にわたり教育に情熱を注ぎ続けた。地域史を学びに生徒と校外へ出かけ、学生時代に長距離ランナーだった経験を生かして陸上部顧問を務めた日々も懐かしい記憶のひとつだ。

 ○…僧侶として接する人々の苦しみや悲しみ。寺で手をあわせても、病を完治させるようなことは叶わない。大切なのは、その後の捉え方。「祈ったからこそ、今より悪くならずに済んだ」と受け止め、前を向くことを諭す。その姿勢こそ、人生を明るく照らす光となる。

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