横須賀・三浦 人物風土記
公開日:2026.04.17
「バナナアーティスト」として、芦名の浄楽寺で個展を開く 笠谷 耕二さん 横須賀市秋谷在住 61歳
一皮むけば、笑顔こぼれる
○…台所にポンと置かれたバナナの皮。そんな日常の何気ない光景を、永遠の命を持つアートへと昇華させる。18年にわたり「バナナ」をモチーフに作品を作り続ける。陶芸の技法をベースにしながら、実物と見紛うほどの写実性と、どこか人間味を感じさせるユーモアを兼ね備えた作品は、世代を超えて見る人に癒しを届けている。「バナナは世界共通の食べ物。コミュニケーションツールでもあるんです」
○…横須賀で生まれ育ち、18歳で美容師の世界へ。31歳で独立し、葉山と鎌倉で2店舗を経営するほど多忙な日々を送った。転機は41歳。「昔から好きだった表現の世界に挑戦したいと思った」。店を後進に譲り、単身イタリアへ美術留学。現地で学んだのは、本物そっくりに型取る陶芸技術だった。
○…帰国後、鉄パイプや缶など「陶芸とは思えない」写実的な作品を制作する中でバナナと出合った。かつて、父が好んで食べていた果物としての記憶。そして、皮の曲線がどこか人の「ポーズ」や「感情」に見える不思議な魅力に惹きつけられた。「リンゴやミカンでは表現できない、愛嬌があるんです」。抱き合ったり、腕立て伏せをしたり、落ち込んだり-。そんな人間味を感じさせるバナナアートに憑りつかれてやまない。
○…現在は美容室を営む傍ら、週の半分を制作にあてる。趣味はサーフィンと釣り。陶芸の土を乾かす合間に海へ入り、波を数本受けてアトリエに戻る。そんな自由なライフスタイルが、作品に軽やかな空気を吹き込む。昨年からは市内でバナナの栽培も始めた。「もっと活動を知ってもらい、作品と一緒に全国を旅したい」。次はどんなバナナを生もうか。探究心は、果実のように熟し続けている。
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