三浦 コラム
公開日:2021.08.06
三浦半島 草花歳時記
第22回 マジに臭い「ヘクソカズラ」
文・写真 金子昇
夏、茂みや垣根等を蔓が覆っている「ヘクソカズラ」は、花の中が赤く外側が白い釣鐘状をしていて、大変可愛らしく、つい手に取ってしまいがちですが、後で手のにおいを嗅ぐと強烈な悪臭に見舞われ後悔します。
ヘクソカズラは全草悪臭で、その名も「屁臭」(へくさ)が転訛したものです。中国名「鶏屎藤」(けいしとう)、米名「スカンク ヴァイン」(スカンクの臭いの蔓)、学名も悪臭を表現しています。この悪臭は昆虫から身を守る自衛策の一つです。
万葉集では「さいかちに 延はひおほとれる屎葛 絶ゆることなく宮仕へせむ」(サイカチにまとわりついているヘクソカズラの蔓のように頑張って宮仕えをしよう)と「屎葛」(ヘクソカズラ)をプラス思考にとらえて詠んでいます。
現在、この可哀想な名に「ヤイトバナ」(火のついたモグサに似る)、「早乙女花」(田植えをするさおとめの菅笠に似る)という別名が付けられていますが、残念ながら誰一人(私も含めて)として使用する方はおりません。
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