「旧野外活動センター」(逗子市桜山)の敷地内にある宿泊棟が手付かず状態にある。県から「法令抵触の恐れがある」と指摘を受け、市が2006年に凍結を決定してから7年。老朽化した建物を取り壊すのか、改修して市民活動の場として再活用するのか、いまだ市からは対策案が示されておらず、今後の方向性は見えていない。
凍結から7年手付かず
同施設は元々、民間会社の寮として1969年に竣工。84年に市土地開発公社が土地を取得したことで、翌年4月、市に無償で譲与された。
建物は鉄筋コンクリート造3階建てで、述べ床面積は約720平方メートル。2DKの住宅11戸や共同の食堂などを備える。宿泊可能な公共施設が少ない同市において1人1泊500円で泊まれるとあって、凍結前は野外活動や交流活動の宿泊施設として、年間約1500人が利用していた。
しかし、建物が老朽化していたことに加え、有償での宿泊が旅館業法に抵触する恐れがあるなどとして06年に県が法令に適合した施設として改善するよう指導。市ではこれに基づき、関係機関や庁内で協議、検討を重ねたが、同様の使用継続は不可能との判断から同年9月に同センターの廃止を決定。研修棟は蘆花記念公園の休憩施設として利用し、宿泊棟は閉鎖された。
廃止から7年、宿泊棟の具体的な利用方針は示されておらず、13年度当初予算案にも同施設の整備案件は計上されていない。15日の会見で平井竜一市長は再整備の可能性について「実際に可能かどうかのめどは立っていない。今後市民と協議しながら模索していく」と述べるにとどめた。
手付かずになっている背景としては、整備費用の問題がある。建物は完成から40年以上が経過しており、耐震化などの再整備や運営には膨大な費用がかかる。また取り壊すにしても巨額の撤去費が必要で、厳しい財政状況を迫られている市としては手詰まりになっているのが現状だ。
一方、市民からは宿泊棟を再活用模索する動きもある。05年までには同センター利用団体連絡協議会が立ち上がっているほか、逗子市まちなかアカデミーなども利用に向けた可能性を探る。関係者の一人は「宿泊棟が利用できれば、逗子という土地に憧れを持つ若者を呼び込むきっかけにもなるのではないか」と話した。
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