治安や風紀の乱れが問題視されている逗子海水浴場について、市民が安心して楽しめる海に戻そうと市が規制強化を盛り込んだ条例改正案が先月26日、市議会本会議で賛成多数で可決された。市民の安心と安全を最優先と位置付ける平井竜一市長が「全国的に最も厳しい」と評する条例で、今夏海水浴場から適用される。
規制強化は近年、県内海水浴場で問題となっている一部海の家の「クラブ化」や、モラルのない若者らによる騒音や風紀の乱れを受けたもので、昨夏には同海岸で殺人事件も発生するなど市民からも治安回復を望む声が上がっていた。
条例は「浜辺での飲酒禁止(海の家では可)」「バーベキューの禁止(同)」「ラジオ体操など一部を除いて拡声器を使って音楽を流すことを禁止」「入れ墨・タトゥーの原則露出禁止」などを定めている。個別の海水浴場を規制する条例は全国でも例がなく、飲酒の禁止まで踏み込んだものも初という。
さらに今後、海の家の営業時間短縮や音楽演奏などを規制する規則も作る方針。行政担当者や公募市民、地元自治会など関係機関から成る協議会を今月中にも立ち上げ、海水浴場開設までに内容を固める。
本会議終了後に会見に応じた平井市長は「提案した条例に賛同していただいたことにまずは安堵している。条例運用には重い責任が伴う。市民が安心して楽しめる海水浴場を取り戻すべく、覚悟を持って臨みたい」と述べた。
海岸組合改正差し止め求め市を提訴
逗子海岸営業協同組合(原敦理事長)は先月24日、音楽演奏禁止や営業時間短縮などを盛り込んだ条例改正の差し止めを求めて、横浜地方裁判所に提訴した。26日の市議会本会議も見据え、条例可決時の差し止めも求めている。
要旨は音楽禁止や営業時間短縮、規制の主体などについて妥当性を問うもので、音楽については音量規制やクラブ化営業の規制は必要としつつも「全面禁止は明らかに行き過ぎで表現の自由を侵害する」、さらに「そもそも海岸の管理権者は県であり、市が条例で規制することはできない」などとしている。原理事長は訴訟について「これまで組合は防音壁の設置や音量制限、営業時間短縮に協力してきた。にも関わらず市は協議の場から組合を排除し、一方的に要求を突き付けてきた。到底納得できない」と話している。一方訴訟を受けて平井竜一市長は「訴状が届いておらず、詳細についての言及は差し控える」としつつ「組合との話し合いには誠実に応じてきたつもりだし、規則の内容については組合も交え協議する予定だった。提訴されたことは残念でならない」とコメントした。
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