本紙では、新年を迎えるにあたり、山梨崇仁葉山町長に単独インタビューを行った。町長に就任し、今年は1期目最終年。これまでの取り組みを振り返るとともに、2015年を「集大成の年」と位置付け、その意気込みを語った。
(聞き手=本紙編集長・佐藤弦也)
―まずは昨年1年を振り返って。町の印象的な出来事などについてはいかがですか。
「まずは県内初の取り組みとなった、無料でのごみの戸別収集が始まったことです。排出量削減を目的に昨年6月に導入しましたが、導入から3カ月間で前年同時期と比べて約22%減となり、順調に成果が現れています。目標とする可燃ごみ30%減まではあと少しというところなので、今後は町民皆さんに分別をより広く周知し、精度をあげていきたいと考えています。また一部違反者へのルール徹底を図ることも今後の課題です」
―横須賀三浦両市との裁判の決着から1年余りが過ぎました。その後、近隣自治体とのパートナーシップ構築を課題に掲げていましたが、進展はありましたか。
「昨年11月に議会で行政報告をさせていただきましたが、同年10月に隣の逗子市に、葉山町で出た可燃物の焼却処理を依頼、打診いたしました。その結果、県の処理広域化計画と逗子市、鎌倉市の関係性を尊重すべきということ、逗子市民の理解を最優先する、とした上でまずは事務レベルでの情報交換を行っていくことになりました。焼却処理については今すぐにということにはなりませんが、逗子市とは今後、一般廃棄物処理全般について積極的に情報を交わしていきたいと考えています」
中学校給食導入にも意欲
―ダイオキシンの検出問題から町クリーンセンターの使用が停止されて5年あまりが経ちます。解体などの見通しは。
「過去の経緯から焼却施設は再稼働しないことが第一。解体に踏み切るには巨額の費用を要しますので、県や国から補助が出る機会をうかがっています。また集積されたごみを運搬するクレーンについては現在も使用しており、解体にはその代替施設が必要になります。いずれも今後の大きな課題です」
―ごみ以外の話題について、また年明けの主だった取り組みについては。
「横須賀・三浦との消防の共同通信化を図りました。救急、消防力の強化です。また、近隣の規制の影響で治安悪化を懸念していた夏の海水浴シーズンが無事終えられたこと。今年の取り組みについては町制施行90周年のさまざまな事業がありますが、4月に役場の機構改革始まり、同時に10年後のまちづくりの指針を示す新たな総合計画がスタートします」
―機構改革では部課が再編成されるなど行政組織に大きな変化があります。町民目線で何が変わりますか。
「第一義的には政策と財政の担当課を一つの部署内におさめることで、これまで以上にスピーディーな町政運営が可能になります。定着まで多少時間はかかるかもしれませんが、政策実現と町民の皆さんの声に対してはスムーズに反応できるようになると思います。また、庁舎1階を中心に色と表示の改良工事も行いますので、見た目にも分かりやすい役場に変わるはずです」
―総合計画はどのような内容になる予定でしょうか。
「今回策定する上で最も重視したのが、行政主導の考えではなく、町民皆さんの生の声。全町へ無作為抽出のアンケート調査やワーキンググループを通じて、皆さんが描くまちの未来図や目標を言葉として反映させました。町民の思いを形にするための、手引書になったと思っています」
―将来的な人口減少や少子高齢化考えると外から人を呼び込む施策も必要になります。
「葉山への憧れやいつか住んでみたいと思っている人、そういう人たちが葉山に移り住んだとき、その期待に応えられるまちづくりは今後さらに重要です。そのためには今の葉山の良さ、守るべきことはしっかりと守り維持していくことが大切だと考えています」
―例えば子育て支援策などの具体案はありますか。
「保育園や学童保育の整備がありますが、新たに今町では中学校給食の導入に向けて議論を進めています。導入は私が公約に掲げた大きなテーマでもあり、早ければ今年の春には給食の供給方法や導入の時期を皆さんに示せるかと思います」
―町商工会が主体で、南郷地区に町の特色ある商品や地場産品などを販売する共同店舗の開設計画が進められています。期待していることは。
「町の玄関口に設置が予定されているので、まず外に向けた活性には期待ができます。加えて町民の皆様も気軽に利用できる施設になれば内外一体の活性化に繋がる。その点には大いに期待しているところです」
―町長1期目、最後の年です。今年1年の抱負を。
「機構改革や総合計画など、今まで準備をしてきたことがひとつ一つ形になっていく集大成の年になると感じています。ただ掲げた公約に未達の部分も残されていますので、町民皆さんの声に真摯に耳を傾けながら、やるべきことを全うする1年としたいです」
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