茅ヶ崎・寒川 意見広告
公開日:2026.03.27
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ホルムズ海峡情勢について
衆議院議員 河野 太郎
アメリカとイスラエルによるイラン攻撃が続き、その結果、日本のエネルギーの生命線ともいうべきホルムズ海峡が事実上封鎖されています。
我が国は、化石燃料のほぼすべてを海外から輸入しており、特に原油の中東依存度は94%、ホルムズ海峡への依存度は93%とかつてのオイルショック時よりも高くなっています。日本が必要とする原油の量は1日約28万kL、VLCCと呼ばれる原油タンカーほぼ1隻分です。この原油タンカーが中東から日本に到達するのに約20日、それが洋上に約20隻あって、毎日1隻、日本に入港し、原油を積み下ろすというのがおおまかな日本の原油の状況です。
ホルムズ海峡が封鎖されても石油の積み出しを続けられるように、サウジアラビアは、紅海側のヤンブーまで石油のパイプラインを整備しています。しかし、紅海の出口にあたるバブ・エル・マンデブ海峡付近でイエメンのフーシ派からのミサイル攻撃を受ける可能性があり、日本のタンカーが通りにくい状況にあります。また、UAEもホルムズ海峡の反対側のフジャイラまでパイプラインを敷きましたが、フジャイラがイランからの攻撃にさらされて、ここも安全ではありません。
アメリカから原油を買い付けることもできますが、原油タンカーはパナマ運河を通れるサイズではないので喜望峰を回るしかなく、中東から20日で来るところ、メキシコ湾から日本まで50日かかってしまいます。
日本向けに原油を積んだタンカーが最後にホルムズ海峡を通過したのが2月28日で、そこから20日かけて3月20日ごろに日本にそのタンカーがやってきます。そこまではほぼ毎日1隻、日本の1日分消費量を積んだタンカーが日本に入ってきますから、原油の供給は心配ありませんが、3月20日以降は供給が大幅に減少します。
昨年12月時点で日本の石油の備蓄は254日分で、その内訳は、国が保有する国家備蓄が146日分、石油精製業者等が法律に基づく義務として保有する民間備蓄が101日分、サウジアラビア、UAE、クウェートが保有する産油国共同備蓄が鹿児島と沖縄で合計7日分となっています。
高市総理はIEAによる備蓄の協調放出の決定に先立って、まず、民間備蓄の15日分の活用、そしてその後、国家備蓄の1か月分の放出を表明しました。
第二次石油危機以降、備蓄石油が活用された事例は、第二次石油危機、湾岸戦争、ハリケーンカトリーナ、東日本大震災、リビア情勢の悪化、ロシアのウクライナ侵略と6回あります。25日分の民間備蓄を対象とした東日本大震災や7日分の民間備蓄と5日分の国家備蓄を対象としたロシアのウクライナ侵攻の時とくらべても、まず民間備蓄15日分、さらに当面の国家備蓄の1カ月分というのはかなりの量になります。
他方、LNGは、オーストラリア、マレーシア、ロシア、アメリカ、インドネシア、パプアニューギニアからの輸入で約82%を占め、中東への依存度は11%、ホルムズ海峡への依存度は6%程度です。日本の在庫も電力会社、ガス会社に400万トンあり、これは日本の消費量の約3週間分に相当するとともに、ホルムズ海峡を通過するLNGの輸入量が1年間に400万トンですから、その1年分の在庫があることになります。また、中東からの輸入に支障が出れば、ほかの供給国からの輸入を増やしたり、スポット市場から購入することもできます。
しかしLNGの価格は、原油価格に連動するため、量は大丈夫でも価格には影響が出ることは避けられません。原油価格が2カ月後の発電用LNGの輸入価格に反映され、それが一定の時間を経て電気料金に反映されるので、原油価格が上昇すると約4カ月から半年後に電気料金が上がることになります。
化学産業の原料となるナフサにも問題が出ています。日本の年間ナフサ消費量は3390万kL、このうち4割は国内で原油を精製して作り、6割は輸入されています。輸入のうち70%がUAE、クウェート、カタール、サウジアラビアなど中東からの輸入です。ナフサの国内備蓄は約20日分、ナフサから作られる中間製品の在庫は様々ありますが、2カ月分ぐらいと言われています。原油が入ってくれば、その分を精製してナフサを作ることができますが、今の状況では、中東以外からのナフサの輸入、ナフサや中間製品の備蓄を使ってしのぐことになります。
原油価格が上がれば当然、ガソリン価格が上がります。原油の価格が1バレル100ドルの時に大体ガソリン価格が190円になり、そこから原油が1ドル上がるとガソリン価格が1円上がる計算になります。原油価格が120ドルになるとガソリン価格は210円になるおそれがあります。ガソリン価格が上がる前に少しでも安くガソリンを入れようとスタンドに行列ができ、何らかの理由でそれがパニックに繋がる可能性があります。ですから高市総理が170円で価格を安定させると発言したのは、経済的というよりも社会的な、パニックを抑える意味で重要です。
しかし、日本の原油備蓄には限りがありますから、どこかで消費を抑制する方向にかじを切らなければなりません。ガソリン価格を補助金で押さえてしまっては消費を抑制することはできませんから、価格を徐々に市場メカニズムに戻していく必要があります。その際に、低所得世帯や産業の中でも必要なところには支援をしながら、ガソリンの消費をなるべく抑えてもらわなければなりません。ガソリン価格は市場メカニズムに戻し、支援が必要なところにはピンポイントで支援を出すことによって、不必要な消費は減らしていくという政策にどこかでかじを切る(できればなるべく早く)必要があります。
(3月23日起稿)
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