逗子・葉山版 掲載号:2018年1月26日号
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横浜地裁横須賀支部 逗子市に110万円賠償命令 ストーカー殺人事件、過失認定

社会

三好さんの遺影を手に会見に臨む夫(=15日、横浜市内)
三好さんの遺影を手に会見に臨む夫(=15日、横浜市内)

 2012年に逗子市で起きたストーカー殺人事件で、被害者の三好梨絵さん=当時(33)=の住所を元交際相手の男側に漏らしたとして、夫(47)が市を相手取って1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が15日、横浜地裁横須賀支部であった。前澤功裁判長は市の行為はプライバシーを侵害する違法なものだったと認定。市側の過失を認め、慰謝料など110万円の支払いを命じた。

夫「再発防止へ警鐘を」

 事件は12年11月6日、三好さんが元交際相手の男からストーカー被害を受けた末に殺害されたもの。三好さんは被害を理由に個人情報の閲覧制限をかけていたが、事件前日、依頼を受けた探偵業者の男が夫と偽り、当時市納税課の職員から住所を聞き出していた。

 判決では、殺害をほのめかすメールを度々受けていた三好さんの個人情報は「生命身体の安全に関わる重要な情報」と位置づけ、情報漏えいは違法な公権力の行使にあたると指摘。「被害者が受けた精神的苦痛は多大」と結論付けた。

 一方で、市職員は「相手方の真の目的を知らなかった」として、事件との直接的な因果関係は認めず、賠償額は110万円にとどまるとした。

 最愛の妻を失った事件から5年余り。判決同日、横浜市内で記者会見に臨んだ夫は判決について「ほぼ100%こちらの主張が認められた。今後こうした情報漏えいが起きてほしくないという警鐘を鳴らす意味では十分な金額だと思う」と静かな口調で語った。ただ、判決は請求額のわずか1割だったこともあり、控訴は「妻の家族と相談して決めたい」と述べるにとどめた。

 妻の命を奪ったのは加害者の男だと分かっている。ただ、逗子市だけでなく、全国の自治体に命の危険性がある個人情報の保護を徹底してほしい―。その一心で裁判に臨んできた。

 記者から梨絵さんに伝えたいことを問われるとしばらく沈黙し、「この金額でごめんねと。頑張ってここまでやってこれたことは伝えたい」と声を震わせた。

 生前、妻はストーカー被害を少しでもなくそうと被害者としてテレビ取材などに応じようともしていた。自分が最善を尽くせたのかは分からない。それでも「やれることをやってくれて、ありがとう」。そう言ってくれると信じている。

市長「控訴しない」

 判決同日、逗子の平井竜一市長は市役所で会見を開き、事件について改めて謝罪。「裁判所の判断を厳粛に受け止める」とし、市として控訴をする意思がないことを示した。

 市は事件を受けて関係職員を懲戒処分したほか、個人情報保護強化マニュアルを策定。情報閲覧にかかる住基支援システムの表示改修や閲覧者が指の静脈を用いる生体認証システムを導入するなど情報セキュリティー対策に取り組んでいる。平井市長は「今後ともこのような情報漏えいを決して起こさないよう最大限の取り組みを続けていく」と述べた。

逗子ストーカー殺人事件…2012年11月6日、逗子市内の自宅アパートで三好梨絵さん=当時(33)=が元交際相手の男に刺殺された事件。男はその場で自殺した。ストーカー被害が認められていたにも関わらず、事件が防止できなかったことなどが問題視され、ストーカー規制法が改正されるきっかけになった。
 

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