機材の前に座る町屋さん
今回のコロナ禍で大きな打撃を受けた音楽業界。イベントが軒並み中止となるなか、レコーディング事業などを展開する株式会社ワイズ音楽出版（逗子市沼間、町屋雄三代表取締役）は、既存の設備を生かした音楽番組を制作し、配信している。
２０１１年、前身となる会社を立ち上げた町屋さん。音楽制作やレコーディング事業に力を入れ、作曲や編曲などからＣＤのジャケット制作に至るまで一括して行ってきた。
その後、作った作品の管理の重要性に着目し、現在の会社を設立。音楽著作権の管理やプロモーション、マネジメントなどいわゆるレーベル事業も行っている。
コロナをチャンスに
音楽番組配信は、もともと２０２０年の目標に掲げていたことだったという。そんななか、３月頃から自粛ムードが広がり、予約の入っていたレコーディングはキャンセルに。所属するアーティストのライブもすべて中止となったが「この期間に番組配信を形にしよう」と、準備に取り掛かった。
現在、様々な形でアーティスト個人やレーベル会社がライブを配信しているが、町屋さんがこだわったのはテレビに負けない音と画質、そして生中継だった。機材は普段レコーディングで使用しているものを活用し、差別化。スタジオでの演奏をリアルタイムに届けることで、よりライブに近い体験ができる仕組みにした。演奏の合間にアーティストと視聴者がメッセージでやりとりできるチャット機能も設け、インターネットならではの「近さ」も備えた。
スタッフと機材の調整やテストを繰り返し、ようやく納得のいく配信ができるように。「他の事業もやっていたら今年中にはとてもできなかった。休みなく準備した甲斐があった」。番組は「Ｙ＇ｓ ｍｕｓｉｃ ＴＶ」と名付けた。
｢リアルと同じ価値を｣
今月13日から配信をスタート。初回は市内の様々なイベントで演奏している沖縄出身のシンガーソングライター東風平高根さんが出演。全国各地のファンが視聴し、チャット機能も好評だったという。
町屋さんは「リアルのイベントと同じ価値を観る人に届けられるよう、試行錯誤していく。世界に才能あるアーティストを売り出したい」と意気込みを語った。
６月26日（金）午後８時からシンガーソングライターの松尾貴臣さん、27日（土）午後８時からと８時45分からはピアニストの高瀬啓伍さんが演奏する。視聴は課金や投げ銭制。
詳細は【URL】https://www.ysmusicpublishing.co.jp/y-smusictv/
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