逗子市は給付型奨学金制度を創設し、来年度から運用を始める。逗子市出身で現在はアメリカ在住の元実業家・渡辺利三さんが市に寄付した10億円を活用する。桐ケ谷覚市長は「永続的に支援していきたい」としている。
渡辺さんは大学に進学する際、逗子市から寡婦家庭に対する教育資金援助を受けたことから、恩返しの思いを込めて供与型奨学基金設立を提案したという。
市は現在開会中の市議会第4回定例会に負担付きの寄付受納の議案及び関係する補正予算案を提出。議決を受けた後、寄付金を原資とした奨学金財団を設立し、給付事業を行う。給付金や運営費は10億円の運用益でまかなう。
対象は国内外を問わずリーダーとして活躍したいという高い志を持ち、経済的な理由により修学困難な逗子市在住者。文部科学省が指定する国立大学のほか、慶應義塾大学や早稲田大学などの「スーパーグローバル大学」に進学する人やひとり親家庭の学生を優遇する。逗子市内に1年以上居住していることや成績・世帯収入要件あり。卒業まで毎年、給付するが成績によっては打ち切りになることもあるという。
市によると、初年度の奨学生は来年4月に入学予定の学生とし、2月頃から募集と選考を実施。7月上旬には決定する予定。定員は5人で、給付額は年間72万円を想定している。桐ケ谷市長は「大変ありがたい話で感謝の気持ちでいっぱい。コロナ禍で進学をあきらめざるを得ない家庭もあると聞く。永続的に意欲ある学生を支援していきたい」とした。
26歳で起業
渡辺さんは幼いころに父を亡くし、大叔父・儀重さんのもとで育った。儀重さんは現在、マンションが建つ池田通り沿いの建物の一画で湘南ミルクプラントを経営し、後に逗子市商工会会長も務めた人物だ。
渡辺さんは鎌倉学園高校から慶應義塾大学に進学後、奨学金を受けてアメリカの大学に編入。帰国後、外資系企業に就職し、26歳で独立起業。教育事業や輸入販売事業、コンサルティング事業を営み、40歳からは日本製品を普及させるビジネスで世界38カ国に進出。56歳で引退し、現在は若者たちの留学支援などを行っている。
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