▼藤沢市長選で、現職の鈴木恒夫氏が3選を果たした。早くから保守層を一本化し、産業界、国会議員、政党など、垣根を超えて幅広い支持を取り付け、盤石の布陣で選挙戦に臨んだ成果と言えよう。現職有利の下馬評は覆らず、陣営が目指した「信任に足る6割の得票」はほぼ達成された。ただ、投票率を見れば30%を割り込む低調ぶり。また得票数も前回の約6万8千票から1万票近く落とし、現市政への批判も浮かび上がった。
▼少子高齢社会にあって、人口増が続く藤沢市。だが、10年後には人口減に転じると推計され、時代の波はいずれ訪れる。現状財政的に安定しているとはいえ、社会保障費や公共施設再整備費の増大が見込まれる今後は予算の「選択と集中」が一層必要になる。市は2018年11月に中期財政計画で584億円の財源不足を示したが、その後見直し対象になった33の事務事業の多くは、高齢者や障害者福祉に充てられていたものだった。国基準や他市と比べ手厚かったとはいえ、それらが切り詰められても藤沢は「暮らしやすく、選ばれる街」足り得るだろうか。政策との整合性が問われる課題と言えよう。
▼社会構造の変化が加速する過渡期にあって、鈴木市長の言う「変化に対応した基盤整備」はもちろん重要だ。一方、数十年先の街のビジョンも欠かせない。例えば選挙中、新人2氏が反対としたJR東海道線の藤沢―大船駅間で進む、村岡新駅構想については直接的な言及を避け続けた。県や鎌倉市が誘致を強力に推進する中、藤沢でも重要課題としての比重は高まる。今後は自身の見解を交え、具体的な方向性を指し示すべきだろう。
▼今夏には東京五輪セーリング競技が江の島で開かれ、2度五輪を迎えた街としてのレガシー(遺産)活用にも期待が高まる。「藤沢市政を着実に前へ」。選挙戦で口にしたその言葉をかみ締め、首長としてのリーダーシップを発揮し、4年間のかじ取り役を全うしてもらいたい。
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