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藤沢 文化

公開日:2025.09.25

空駆け上がる若き鳶
命懸けの妙技、舞台裏に迫る

  • 苦悶の表情で稽古に励む若鳶と指導する先輩衆

 「藤沢市民まつり」が50回目の節目を迎える。28日(日)に藤沢駅周辺で行われる南北大パレードは見どころの一つ。そこで伝統芸能のはしご乗りや木遣り、まとい振りを披露するのが藤沢鳶職連合会(諏訪間昇一会長・62)の面々だ。命綱なき稽古に臨んでいる。 

 「足曲げちゃだめ。突っ張んないと」

 本番が目前に迫った22日の夜、藤沢鳶職組合の副組頭が営む(株)青木工務店(亀井野)の敷地内に声が響く。はしご乗りに出演する藤沢若鳶連合会(鎌田博文会長・45)の若き鳶たちを先輩衆が指導していた。

 「怖い」。最年少21歳の亀田碧さんの言葉が、命懸けの稽古の重さを物語る。幼い頃に見た親戚の勇姿に憧れを覚え、年初めの出初式からはしご乗りの世界に足を踏み入れた。市民まつりが初演技の場だ。「けがなく、皆が見とれる演技ができれば」。その眼差しは空へとまっすぐに向いた。

 加賀百万石の地から始まった妙技は、高さ6・3mにも及ぶ真竹の梯子の上で繰り広げられる。およそ36cm間隔に設けられた15段の横木を、足袋を履いた鳶が軽やかに駆け上がっていく。一番上と中間、そして最下段に施された二重の横木だけが、彼らの命を支える唯一の頼りだ。「よく見せようと調子に乗ったらけがする。緊張がないと」と鎌田会長は厳しくも優し気に稽古を見守る。

 市内3団体でつくる藤沢鳶職連合会には現在、20〜70代の鳶約50人が所属している。少子高齢化で会員が減少気味というが、「登った者しか見られない景色がある。拍手喝采は気持ちいい。観衆が酔いしれ、やってみたくなるような華やかな演技をしたい」と諏訪間会長。古より受け継がれし技が藤沢の空に輝く。

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