鎌倉 社会
公開日:2025.07.11
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鎌倉大根、復活の兆し
「伝統野菜、育てませんか」
6月下旬、「鎌倉大根の種ができました」との連絡を受け畑に足を運ぶと、長く伸びた茎に数えきれないほどのさやがぶら下がっている。さやは硬く、指では割れそうにない。「中の種を取るのも大変」と話すのは、栽培・研究を行っている「鎌倉だいこん未来研究クラブ」(山下祐作会長)のメンバーで、復活のきっかけとなった佐藤えださんだ。
「鎌倉大根」は、たくさんの葉と力強く伸びたひげ根が特徴で、辛みも強い。佐助稲荷神社や光明寺にいわれが残っている伝統野菜で、佐助稲荷の「大明神縁起」によれば、鎌倉時代中期の1230年、大飢饉が起き、多数の死者が出た中で、辛みの強い鎌倉大根が毒消しの効果で疫病のまん延を防いだという。
佐藤さんは、25年ほど前、佐助に大根料理店「福来鳥(ふくどり)」を夫婦で開店した際、その縁起を知り感銘を受けた。「鎌倉大根を復活させたい」という話を聞いた市民のほか、江戸東京・伝統野菜研究会の大竹道茂さんの協力もあり、鎌倉大根の種探しが2013年にスタート。分析の結果、鎌倉大根は、現在、由比ヶ浜や材木座海岸に自生するハマダイコンであると判明した。
商標登録も
その種を育てて収穫祭やイベントを行ってきた同クラブだが、並行して神奈川県農業技術センターでの固定化栽培や「鎌倉大根」の商標登録なども進めてきた。
農園や個人で栽培
同センターで5年ほど研究してきた種は、一般に譲渡ができないため、センターや市内の農園で栽培。そのほかの種は、クラブの有志や賛同者が自宅や畑で育てている。
収穫後は、市内のこども食堂で調理したり、葉を使った染物に挑戦したりと活用方法はさまざま。メンバーの渡邉公子さんは、「興味のある方に種をお分けできます。発芽率は市販のものほど高くないですが、さやごと植えてもうまく育った例もありますよ」と話す。種の受け取りを希望する人は福来鳥【電話】0467・22・1377へ。種は無料だが、活動への協力金を募っている。
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