鎌倉 コラム
公開日:2026.03.13
鎌倉のとっておき 第192回
ジョルジュ・ブラックのやぐら?
天台山は、鎌倉駅から北東に徒歩で約3・4Km(約1時間)。瑞泉寺から天園にむかうハイキング道に沿ってある。
山頂には石の祠だけだったが、近年「天台山」141m の看板が。小さくローマ字で「Tendaisan」とも書かれ、インバウンドへも配慮されている。山頂の視界がよくないのは残念だが、南には瑞泉寺、付近には北条一族の墓とされるやぐら群や徧界一覧亭の屋根が垣間見え、山の東方には貝吹地蔵、往時を偲ぶ縁(よすが)となる。「新編鎌倉志」には天台山の位置が幕府の鬼門(北東)にあたることから京・比叡山を模したという説が述べられている。
さて、この天台山の西の山腹に写真のような構築物がある。瑞泉寺総門手前から入り杣道(そまみち)をたどっていく私のとっておきの場所だ。私は勝手に「ジョルジュ・ブラックのやぐら」と呼んでいる。この幾何学的な造形と微妙な陰影の調和!絵画のキュビズム(立体主義)の創始者のひとり巨匠ブラックの絵のような巨大な横穴、鎌倉石の石切場かもしれない。
天台山頂付近は地質的には浦郷層、その西・南・東は、一つ下層の池子層からなっていて、主に凝灰質の砂岩等でできている。いわゆる鎌倉石はこれらの地層からのものが多いとか。
私はこの場所で一息つき、持参のコーヒーを楽しむ。巨匠の絵画を思い描き、もちろんミルク砂糖なしで。鎌倉の山には、こんな大切にしたい宝石のような場所がひそかに隠れている。
小泉 明彦
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