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鎌倉 人物風土記

公開日:2026.10.09

開創700年を迎える瑞泉寺の住職を務める 大下 一真(いっしん)さん 二階堂在住 78歳

  • 大下 一真(いっしん)さん (写真1)

感謝込め、最後のご恩返し

 ○…今年で開創700年を迎える瑞泉寺(二階堂)の住職を約40年務めている。引退を見据えた最後の大仕事が鎌倉国宝館で24日から行われる特別展「瑞泉寺七百年」だ。「開祖の夢窓疎石、歴代の住職ら、瑞泉寺を支えてきた全ての人たちへの、最後のご恩返しです」と気合が入る。

 ○…禅寺に生まれ、自然と僧の道に。国文学や活字文化を愛し、一時はジャーナリストや学者に憧れたこともあった。しかし、それまで続けてきた修行を続け、「人生観を見つける」道を選んだ。大学時代に瑞泉寺に入り60年以上。「『人生は一期の夢』の通り、夢を見てきたようだ」と振り返る。人生観の答えは見つかっていない。「人生一生修行です」。関東十刹に数えられる寺院の住職を務め、鎌倉歌壇の創設に関わるなど、短歌の振興にも寄与したその姿はどこまでも謙虚だ。

 ○…ほとんど洋服を持たず、どこに行くのも住職の装い。「プライベートとの境目はないよ」と苦笑するほど、僧侶であることは日常だ。忙しい日々を送る中で、自然と触れ合う時間は心に安らぎをもたらす。境内の名勝の管理人として庭を整備し、「花の寺」として親しまれている通り、草花を整える時間がお気に入りだ。「好きなことをやって、人に喜んでもらえる。これほど幸せなことはない」と目を細める。

 ○…「人に優しく、草花に優しく、物に優しく」。そんな当たり前の心を、当たり前に持つことを大切にしている。国宝館での特別展も「自身の外に『ありがとう』を伝える」思いだ。「瑞泉寺の魅力や歴史の奥深さなど、多くの人に知ってもらい、足を運んでもらえれば」。これからも、人里離れた幽邃の地で、訪れる人たちに安らぎを届け続ける。

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