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茅ヶ崎・寒川 人物風土記

公開日:2020.08.28

聴覚障害者を支援する「みみとこころのポータルサイト」を立ち上げた
那須 かおりさん
茅ヶ崎在住 39歳

「困った」を言えるように

 ○…「どう生き方を決めるのか」「どんな困難が待っているのか」。聴覚障害者には、将来を思い描くために参考にできる情報が届きにくい。そんな現状を変えるため、今夏、「みみとこころのポータルサイト」を立ち上げた。自身も聴覚障害と向き合いながら、インタビュー記事やコラムを執筆。9月のサイト本格始動に向け、「ロールモデルを示したい」と意気込む。

 ○…神戸生まれ。4歳のとき、先天性両感音性難聴が発覚した。小・中と一般の学校に通い、高校ではろう学校に進学。大学院まで修了したが、就職でうまくいかず腐っていた。そんな時、アリゾナで日本料理店を営む友人から「渡航費だけ持って気分転換においで」と誘われ、二つ返事でアメリカへ。異国で自由に生きる友人の姿、押しの強い海外の人々に刺激され、「自分の主張を伝えていかなければ」と考えを新たにした。帰国後に地元で就職したが、新しい環境を求め神奈川へ。2年前、気候の穏やかな茅ヶ崎に移住した。

 ○…「昔から、困り事を言えなかった」。そんな自分を変えるため、茅ヶ崎では再び手話を勉強し、”障害とはなんぞや”を見つめ直した。「自分が幼い頃は選択肢がなかった。もっと情報があれば違う生き方もあったかも」。それならば、と聴覚障害者支援団体「4Hearts」を立ち上げ、自身も起業家としてロールモデルになろうと決意した。

 ○…猫のソマリと2人暮らし。昨年、人工内耳を付け、生まれて初めて猫の声を聞いた。「かわいいというより変わった声だなと思った」とはにかむ。「聴覚障害は”体験できない障害”とも言われる。私たちの活動を通じて、聞こえる人も聞こえない人も肩を並べられる社会を築けたら」

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