花屋で売れ残った切り花や、結婚式場やイベント会場で使用されたブーケ、装飾用の花々。まだみずみずしく、十分に美しく咲き誇っているにも関わらず、役目を終えた”小さな命”は毎日、当たり前のように捨てられている。そんな世界的問題にもなっている大量の「廃棄花」を減らすために、『ロスフラワーキャンドルプロジェクト』を立ち上げ、SNSを通じて啓発活動を行っている女性が市内若松町にいる。
アトリエは桜道沿い。一歩足を踏み入れると、花とアロマがふんわりと香り、捨てられたとは思えないほどの鮮明な色を放つ花が一面に広がる。「ちょうど今、お花が届いたばかりなんです」。そう朗らかに出迎えてくれたのは、フラワーキャンドルデザイナーの安永かおりさん(32)だ。
6年前に趣味で始めたキャンドル作りは、いつしかSNSで話題となり、企業や個人からのオーダーや、雑誌に取り上げられるまでに。5年前にはオリジナルブランド『moani(モアニ)』を立ち上げ、廃棄される草花を利用した「ボタニカルキャンドル」やブーケなどの制作を軸足に、ワークショップや教室を主宰。アーティスト育成などにも力を入れている。
フラワーロス「ゼロ」が目標
「廃棄花」の存在を知り、何とかしたいと使命感を抱くようになったのは、ウェディングの仕事を受けるようになった2019年から。「結婚式場やイベントで捨てられる大量の花を見て、自分一人でも何とかしないといけない。ちゃんと生かしてあげたいなって」
そこで、廃棄花をキャンドルの表面に溶かし込んで「ボタニカルキャンドル」として昇華。再び新たな命を吹き込む。
使用する花は半透明のごみ袋などに入れられ、提携の結婚式場や花屋、農家から送ってもらっている。送料は自費だ。「手間になってしまったら、送ってもらえなくなる。だから、どんな形でも送ってもらえるだけで十分なんです。とにかく続けましょうとお伝えしています」と微笑む。
「簡単なことではないけれど、フラワーロスをゼロにすることが目標。そのためには、まずフラワーロスの問題や、解決のために活動をしている人がいることを知ってもらいたい。また、茅ヶ崎の花屋さんや街の人とつながって、もっと活動を広げていければ」。花を『捨てる』のではなく『生かす』文化を茅ヶ崎から発信していく。
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