茅ヶ崎市文化資料館 おうちでミュージアム 連載Vol.19
12月8日のそばすくい
そばすくいは、その名のとおり、茹でた麺をすくうためのものです。しかしこのそばすくい、実は一年に一度だけ、魔除けの道具に化けるのです。
それは12月の8日。この日を、茅ヶ崎のあたりでは「八日ぞう」(ヨーカゾー)と呼んでいました。この日の夜は、「目一つ小僧」という疫病神が村にやってきます。目一つ小僧は、一軒一軒を見回って、戸締りをし忘れていたり、悪いことをしている者を帳面につけます。そして、外に出しっぱなしの履き物にはハンコを押して、次の年に誰を病気にするか決めてしまうと言われていました。
この目一つ小僧が来ないようにと、家々では、竹でできた目籠を竹竿の先に引っかけて軒先に立てかけたり、そばすくいを玄関の脇の柱にくくりつけたりしていました。
竹で編んだ目籠やそばすくいには、「メ」と呼ばれるすき間がたくさんあります。目が一つしかない小僧は、目籠やそばすくいにあるたくさんのメに驚いて退散してしまうと言われています。
八日ぞうは、お正月を迎える前に一家の無病息災を願った行事なのでしょう。軒先にそばすくいや目籠を飾ると、そこから忙しくお正月の準備が始まっていったのです。
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