埋もれた浜岳の史実 一冊に 袖ヶ浜の栗原さん 歴史本を自費出版
袖ヶ浜在住の栗原健成さん(44)が、浜岳地区の歴史を一冊の本にまとめた。地域で活動する市民団体などが歴史の保存・伝承を目的に本を出版する例は多いが、個人で出版までこぎつけるケースは珍しい。
栗原さんは「須賀や馬入といった地域と比べ、浜岳は歴史的な成り立ちの過程について分からない部分が多い。自分が生活している場所をより詳しく知りたくて、断片的な情報をまとめて書物にしようと思った」と、昨年の春から出版に向けた調査を開始した。
ところが、図書館などで歴史を調べようとしても、浜岳地区について記された文献はほとんど見当たらなかったという。栗原さんは横浜貿易新報(現在の神奈川新聞)の記事をはじめ、同級生の親や地元の有力者、市の市史編さん担当者などから地道に情報収集を続け、地域に残る生の声から歴史を紐解いていった。
完成した本は、江戸時代以前から戦後の昭和時代までを辿った総論と、浜岳地区にゆかりの深い名士や企業などについて記述した各論の2部構成となっている。
村井弦斎に関する項では、著書『食道楽』で名を馳せた食通としての顔ではなく、同地区に別荘を構えた日立製作所の創業者・小平浪平などとの関係について紹介するなど、独自の視点で相関関係を浮き彫りにしていった。
「調べていくうちに、知る人ぞ知る浜岳の歴史と出会うことができた。協力していただいた方々も、完成はいつか?と楽しみにしてくださったので、この本をきっかけに、改めて地元に目を向ける人が増えてくれたら嬉しい」と栗原さんは話している。
本はサクラ書店(平塚ラスカ内)、横田書店(紅谷町)、ユアーズ書店(八重咲町)の3店舗で、本日1日から販売されている。B5版・102ページ。1冊1260円。
|
|
|
|
|
|