市博物館の標本 新種きのこと判明 市民研究会が採集
市博物館は9日、保管していた標本のきのこが新種であることが判明したと発表した。アマチュアのきのこ研究団体「神奈川キノコの会」(城川四郎会長)が1999年に相模原市仙洞寺山(旧津久井町)で採集したもので、トゲミフチドリツエタケと名付けられた。
新種と確認されたきのこは胞子に突起があり、ひだに茶色い縁どりがついているのが特徴。杖のように柄が長い。神奈川キノコの会の会員が95年に清川村で4本、99年に相模原市で7本採集した。城川会長によると、食用に適するか、毒性があるかは不明だという。
市博物館は90年から同会が収集・作成したきのこ標本約6500点を保管。同会と協力し、きのこの調査・研究を続けている。今回の新種発見は、ツエタケ類に詳しい鳥取大学農学部附属菌類きのこ遺伝資源研究センターの牛島秀爾助教が、同館発行のキノコ類標本目録に学名のない種があることに注目したのがきっかけとなった。2012年に標本調査のために平塚を訪れ、今年5月27日、日本菌学会の学術誌オンライン版に論文を公開。新種として認められた。
新種発表に際し、99年に相模原市で採ったトゲミフチドリツエタケの標本がホロタイプ(正基準標本)に指定された。世界に唯一のホロタイプは学術的に重要な資料であり、同博物館では初めて。標本は大きなもので傘の直径が約5cm、柄の長さは約9cmある。
牛島助教は「多くの標本とデータが蓄積されていたことで、不明種を分類学的に新種と認めることができた」とコメント。澤村泰彦館長は「市民団体と博物館の20年以上にわたる活動が実を結んだ一つの成果といえる」と喜びを語った。
同博物館では10日から正基準標本の展示を始めた。9月15日(月)まで。問い合わせは同博物館【電話】0463・33・5111。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|
|
<PR>