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相模石油木村運送 100年企業、次代への挑戦 時代の潮流読み「より前へ」

経済

公開:2024年5月7日

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100年企業、次代への挑戦

 平塚市に本社を置く相模石油と木村運送が、5月7日に創業100周年を迎えた。平塚の近代化を支えた商工業の発展と共に、1世紀にわたり歴史を刻んできた両社。時代の潮流に対応する柔軟さと果敢なチャレンジ精神を推進力に、次代を切り開く新たな挑戦に向けて歩を進めていく。

世界標準のビジネス視野に―――相模石油

 相模石油の歴史は1924(大正13)年、小泉光太郎氏が石油や植物油などを販売する「相模屋油店」を創業したことにさかのぼる。1934(昭和9)年に東海道の馬入橋そばにガソリンスタンドを建設し、翌年に藤沢市内に2店目を開店するなど、今日に至る事業の礎を築いた。

 日中戦争や太平洋戦争などの激動期を経て、1950(昭和25)年に相模屋商店として法人組織に改組。事業拡大を続け、1962(昭和37)年に社名を相模石油に改称した。都内や県内各地に営業拠点を増やし、大手石油販売業者としての存在感を示していった。

 世界経済を混乱に巻き込んだ、1973(昭和48)年のオイルショック。同社は、馬入工業団地に保有していた1万平方メートルの土地に、3720㎘を備蓄する油槽所の貯油能力を生かし、石油の安定供給に寄与。時代の逆風は、同社の名声を高める契機となった。

生活密着の多事業展開

 現在は石油製品の販売をはじめ、駐車場やレンタカー、レンタルカート場、中古書籍買取・販売、ボトルドウォーターなど16事業を展開。「ダイレクトパーク」の名で親しまれるコインパーキングは、県内を中心に860カ所以上・9400車室を超える規模に拡大した。同社がネーミングライツ(命名権)を取得する平塚球場は、経営するバッティングセンターの施設名を冠した「バッティングパレス相石スタジアムひらつか」(パレスタ)という愛称でも知られる。

 時代を先駆ける商品やサービスに着目し、顧客第一主義を貫いてきた同社。多角化の中で各事業のノウハウを積み重ね、新たな価値の創造に取り組むその先には、世界に目を向けたグローバルな未来が待つ。

「変革」臆せずチャレンジ――木村運送

 「工業のまち」としての顔も持つ平塚。木村運送は創業期から、この分野で平塚の発展を支えてきた。1924(大正13)年に東京・日本橋で創業し、平塚に移転。現在でも主力とする化学工業品を中心に、関東一円に輸送体制を構築した。

 モータリゼーションを追い風に、自動車修理やガソリンスタンド経営などにも進出した。1964(昭和39)年に⽊村運送に改称し、高度経済成長期には保有車両が50台を超え、従業員数も100人近くにまで拡大。しかし、いわゆる「物流二法」が1990年に施行されて運送業界の規制緩和が進むと、過当競争の波にのまれて採算性を重視した経営への舵切りを余儀なくされた。

「脱アナログ」で生産性を向上

 転機は10年前。木村収一現社長の後継者として、おいの木村塁現取締役が入社。現在は実質的な経営を任されている。

 入社後は事務や経理、ドライバーなどの業務を経験し、老舗企業ゆえにアナログな仕事の進め方が色濃かった社内改革にも着手。社員にパソコンの使い方を教えたり、ホームページを制作して情報を発信したりとデジタル化を推進した。

 不動産賃貸や外国人労働者の人材派遣、老人ホーム事業などの多角化も進め、売上高は入社時の10倍に増えた。今年度は障害福祉事業所の開業も予定し、エッセンシャルワーク(生活必須職)分野の事業拡大を成長の柱に据える。

 100年の歩みを止めることなく、「選択と集中」で難局を乗り切ってきた。時間外労働の上限規制で輸送量の減少が懸念される「2024年問題」に直面する中でも、社員の残業時間を月40時間ほどに抑えて業務体制に余力を残し、新たな仕事獲得を目指している。

100年企業、次代への挑戦-画像2

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