町立湯河原美術館で10年ぶりに絵画展を開催している 永井 等さん 湯河原町在住 53歳
「目で触れる」感覚で
○…絵の具で描いた絵に砂をかけ、乾かしてからさらに色を付ける。風を感じる作品には細かい砂粒で爽やかさを、朽ちた木の表現には粗いものを使いざらついた質感を際立たせる。草木や貝殻などをモチーフに発想を広げ描く。町立湯河原美術館で6月28日まで個展が開催中だ。触れてみたい衝動に駆られるが「目で触れる感覚で見てもらえれば」と微笑む。
○…出身は茨城県勝田市(現ひたちなか市)。自然の中で虫や魚を捕って遊ぶ活発な少年時代から絵を描くことが好きだった。東海大学芸術学科に進学したものの、卒業後は普通の生活をしようと考えていたという。そんなある日、プロの彫刻家として活動していた先輩と出会い、芸術家として作品に向き合う姿勢、これで生活をしていくという覚悟に感銘を受けた。この出会いを機に進むべき道を決めたという。砂を用いた手法は、先輩の彫刻の手伝いをしていた時にこぼれ落ちていた粉を見て思いついた。「好奇心で試したら意外と良かった」と思いがけない発見だった。
○…画家として31年目。「ゴールはなく、作品が完成すると扉が開き新たな道がある。その先に向かっていく感じかな」と微笑む。自宅や店舗などを会場に作品を展示して交流するアートイベント「湯河原・真鶴アート散歩」の実行委員や、都内の幼稚園で造形教室の講師を務めるなど活動の幅は広い。
○…海、山が近くにあり自然が豊富な湯河原町に魅力を感じ2004年から自宅兼アトリエを構える。妻はフェルト作家として活躍中。釣りを趣味にする。「たまにはスイッチを切り替えることも必要」と釣りをしているときは絵のことは考えないという。「表現の引き出しが増えた」と今後の作品に期待が膨らむ。
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