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足柄 人物風土記

公開日:2023.10.21

ひとり語りの会を開催している
柳川 紀枝さん
南足柄市千津島在住 80歳

物語で楽しいひと時を

 ○…自身の干支にちなみ名前をつけた「仔羊ひとり語りの会」は今回で4回目を迎えた。出演者は自身1人。本などを一切使わない「素語り」で物語の世界を表現する。暗記するのはもちろん、観客に情景を想像してもらうために声色や表情の微妙な変化を調整することも大切な準備だ。「聞いてくださる方々に1つでも『この話は面白かった』と印象に残るお話ができたら」と話す。

 ○…松田町出身。小学生の時、授業内外で宮沢賢治や江戸川乱歩など様々なジャンルの文学作品を紹介する教師の影響で物語に関心を持ち始めた。中学生の時にはハンドボールの大会で県3位を獲得するほど運動に熱中した一方で友達と図書館の本を片っ端から読む日々を過ごした。結婚後、子育ても一段落したタイミングで市主催のおはなし講座を受講しサークルに入会。仲間とともに20年にわたって読み聞かせや素語りを続けてきた。「常に新しい題材に挑戦できるところに魅力を感じた。準備は大変ですけど楽しいです」と声を弾ませる。

 ○…大人になってからは劇に関心を持ち始めたといい、結婚後は息子を連れて度々舞台に訪れていたという。「その影響からか、息子は今歌舞伎の劇場で仕事をしてるんですよ」と嬉しそうに微笑む。自身も今年6月からシニア劇団に入り、来年の公演に向け稽古に汗を流しているという。

 ○…夫が今年3月に高齢者施設へ入所。ぽっかりと空いた心の穴が埋まらず塞ぎ込んでいた時期が続き、物語への情熱を失いかけていたが、気分転換に連れ出してくれた友人のおかげで少しずつ元気を取り戻した。「いつまでも下を向いてはいられない。読み聞かせで楽しいひと時を届けたいですね」と再び舞台に立つ決意を見せた。

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