足柄 人物風土記
公開日:2026.09.19
4月から南足柄市郷土資料館の館長を務める 中村俊文さん 小田原市城山在住 70歳
大地の歴史が大好物
○…歴史・民俗資料が並ぶ南足柄市郷土資料館。これから専門である地質の展示を加えようと構想を練っている。「矢倉岳に金時山。普段見上げる山々がどう誕生したのか、その成り立ちを知ってほしい」とにこやか。地域の地層を詳しく紹介し、実際の岩石や化石も並べたいとアイデアは次から次へ。目指すのは、子どもたちが身近な大地の歴史に目を向けるきっかけとなる空間だ。
○…多くの火山を擁することで知られる鹿児島県の出身。地質への興味の原点は小学生の時で、砂の中で見つけた光る粒。当時は火山活動で生じた水晶の破片だと教わった。後に高校の山岳部で山々を巡るようになると、同じ水晶でも形などが全く違うことに気づいた。「違いを知るほど『なぜだろう』と新たな疑問が湧いてくる」。謎解きのような奥深さに、気が付けばどんどんはまっていった。
○…大学院修了後、研究者の道を探ったが当時は狭き門だった。ならば中・高の教員免許を生かそうと、神奈川で教壇に立つことに。この地を選んだのは、箱根や富士山に加え、研究対象の中で自身一番の「大好物」である花崗岩が広がる西丹沢の存在が大きな決め手だった。「休日は調査日」という当初の目論見は、多忙な学校現場の現実に打ち砕かれることになったが、時間を作っては地道に調査を重ねてきた。
○…家で顕微鏡を覗く時間が何にも勝る至福のひとときだ。知識獲得に対する貪欲な姿勢は、妻との旅行中でも変わらない。コース選定時には「一カ所は自然の地形が見える場所にいきたい」と頼み込むという。止まらないエネルギーの源を問うと「好きだから歩く、歩くと気づく。それだけです」。言葉はクールでも、ハートに秘めた熱量は無限大だ。
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