足柄 人物風土記
公開日:2026.08.29
山北町の地域防災マネージャーを務める 中野 幸紀さん 松田町松田惣領在住 56歳
防災対策まったなし
○…「町民の防災意識を高めることが私の役目」。自衛隊で培った災害対応の知識と経験を携え「地域防災マネージャー」として4月から山北町に勤務する。9月6日の防災イベントでは、講演会に加えて、自衛隊の災害派遣装備品や避難所モデル、防災用品の展示などを企画。近年は災害の激甚化、頻発化もあり、個人レベルで防災対策は待ったなし。自覚する「役目」は重い。
○…父に連れられて訪れた駐屯地の記念行事で「国を守る仕事ってかっこいいな」と憧れを抱いた。中学から横須賀市の自衛隊学校へ進み、卒業後は「施設科」に配属。重機を扱い、道路整備や橋の架設など、部隊の活動を足元から支えてきた。災害派遣もこれまでに10回を超え、新潟県中越地震や東日本大震災、熊本地震など、各地で対応にあたった。平時の備える力、有事の対応する力は、日々の積み重ねがモノを言うことを誰よりも知っている。
○…仕事を離れれば、40年近く乗り続けるバイクが一番の息抜きになる。趣味はどこに行っても共通言語で、異動先の駐屯地各地では自然とツーリング仲間ができた。現在もバイクはコミュニケーションに一役買っている。「空気や匂いを肌で感じられる。車とは見える景色が違うんです」。語り始めたら止まらない様子に、底抜けな愛情が滲む。
○…2017年の九州北部豪雨では、福岡県朝倉市へ派遣された。道路は寸断され、奥地の集落は孤立。救助や物資輸送は難航を極めた。この時、一律の備えではなく、地域特性を踏まえた備えを普及させることが必要と感じた。定年後の勤務先に山北町を選んだのは、この時の被災地と地形が似ていたから。「教訓として伝えなければ」と、前を向く。
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