第42回温泉関係功労者表彰で表彰された
久保寺公正さん
戸川在住　80歳

地域住民の財産を守る

　○…温泉地の活性化や温泉の適正利用の啓発、温泉行政などにおける功績をたたえるもので、環境大臣表彰の一つ。17年前から箱根町で温泉専門技術員として勤務する中で、今回「温泉行政の推進に顕著な功績があった」として表彰を受けた。普段は専門家として温泉井戸の修理や新設、自然災害で温泉施設が損壊した際の相談などに対応。「地域の住民や旅館の生の声を聴くことなしに、公務員の仕事は無いと思っている」と日々の姿勢を語る。

　○…大学卒業後に地質調査の民間企業に１年務め、「『仕事にこだわれ』と教えられた」ことが心に残っているという。その後、県の温泉研究所の試験を受け採用となり、小田原保健所（現・小田原保健福祉事務所）の温泉課に配属に。研究所の論文や成果を理解し、仕事に反映したいとの思いから、温泉の勉強会にも積極的に参加した。担当課の異動もあったが、「県民のために」というスタンスは変わらなかったという。

　○…北小・中、秦野高校出身。日本大学では地理学科で「地下水」を専攻したが、そのきっかけは「秦野盆地の水の仕組みが気になって」だという。戸川の水を生かし、コーヒーにもこだわっているのだとか。秦野はもちろん、大学時代の友人など友情にも厚い。コロナ禍以前には、年の瀬に自宅でＢＢＱを主催したりと「やっぱり仲間が大切ですね」とほほ笑む。

　○…定年後、箱根町に温泉専門技術員として勤務し始め、現在週２日出勤している。日本温泉科学会や日本温泉気候物理医学会にも所属し、専門家として重宝される存在だ。後継者が欲しいと思うこともあるが、「事務的にやるのではなく、住民の財産を守る意識がある人じゃないとね」と熱い眼差しを見せた。