基地と旅行会社つなぐ 自衛隊OBのガイドツアー
自衛隊OBが案内役を務めるガイドツアーが軌道に乗りつつある。2年前の7月に立ち上がったNPO法人「横須賀サイトシーイング」(小田倉光伸理事長)が旅行会社と協力して手掛けているもので、普段は立ち入ることのできない自衛隊施設などを見学できる企画がウリだ。およそ2年間で7000人のツアー客を迎えた。需要も右肩上がりで伸びている。
自衛隊施設や米海軍基地を観光資源として活用する動きが加速している。年に数回の施設(基地)開放日には、数万人規模の見学者が訪れるなど、圧倒的な集客力があることがわかっている。これを日常的な経済振興につなげようと官民が連携して挑んでいる。
サイトシーイングは市内在住の自衛隊OBでつくる「隊友会」のメンバーで組織。横須賀市のボランティアガイドにも属し、自衛隊施設に特化した案内などを請け負っている。およそ20人のガイドが基地とのパイプ役を務めながら、専門知識や現役時代のエピソードをツアー客に伝えている。自衛隊側も「国防に対する意識醸成が図れる機会」と捉えており、受け入れに前向きな姿勢だ。
今月18日に行われたのは「個人では見学できない海上自衛隊」と銘打った旅行会社の企画ツアー。埼玉県からバス2台で90人が訪れた。田浦にある海上自衛隊第2術科学校にある資料室や実習場、隊舎をめぐり、ツアーの目玉である艦艇(掃海艇)で現役隊員から業務内容や日常の生活ぶりなど、生の声を聞いた。
ツアー客も矢継ぎ早に質問する。「実習期間は何年」「船上の食事メニューは」「階級の仕組みを教えて」といった問いかけに、現役隊員とガイドが体験談を織り交ぜながら答えていた。
昼食は定番の海軍カレー。サイトシーイングでは、食事の時間にアトラクションも組み込む。手旗信号の体験や制服着用、元特攻隊員による戦闘機の解説などで徹底的にもてなす。「内容が濃くて時間があっという間に過ぎてしまう」。小学生の子どもと参加していた男性は満足げな表情を浮かべていた。
午後は横須賀中央や横須賀美術館を自由に散策する行程。軍港だけではない横須賀の魅力紹介もツアー会社と協力して行っている。
「3・11での自衛隊の支援活動。これを機に存在と役割があらためて認識され、関心を寄せる人が増えた」とサイトシーイングの小田倉理事長。幅広い年代に興味を持ってもらえるメニューや企画を打ち出していく考えを話していた。
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