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横須賀・三浦 トップニュース政治

公開日:2026.01.01

不確実な時代を乗り越える
横須賀・三浦両市長 新春インタビュー

  • 新年の見通しと抱負を語った上地克明横須賀市長(右)と出口嘉一三浦市長(=両市役所で撮影)

  • 上地市長の谷戸活用のアイデアで誕生した「月見台住宅」

  • 新海業プロジェクトの対象地となっている「うらりマルシェ」

 タウンニュース横須賀・三浦編集室では、新年の幕開けにあたり、横須賀市の上地克明市長と三浦市の出口嘉一市長に恒例の新春インタビューを行った。

 少子高齢化、人口減少という共通の波が押し寄せる中、「舵取り役」である二人のリーダーは、地域経済の活性化や福祉・教育への手当、防災対策などの課題にどう向き合い、まちを浮揚させていくのか。昨年、両市であった市長選を振り返り、それぞれの市政運営の"現在地"を確認するとともに、新たな時代に向けた挑戦について、率直な思いを聞いた。(聞き手/上地市長は本紙編集長の安池裕之、出口市長は辻本智也)

上地横須賀市長「愛とロックで一隅を照らす」

 ──まず、2025年を振り返って、市政における最大のトピックは何だったと考えますか。

 「私の政治家人生の『集大成』とも言える、浦賀レンガドック周辺の再開発と大矢部弾庫跡地の公園化について、具体的な計画を発表できたことが一番です。横須賀の歴史を紐解けば、三浦一族が出発点であり、そこから近代化の歴史へと繋がっていく。この2つのエリアのプロジェクトは、横須賀のアイデンティティを取り戻すものです」

 ──浦賀の計画は、マンション、ホテル、商業施設に加えて、レンガドック周辺では、これまでの歴史を発信するミュージアムなどを含む総事業費1千億円超の大型プロジェクトです。

 「浦賀は圧倒的な『第2の開国』の姿を示せたと思います。大矢部は80年以上立ち入りが制限されていた『空白地帯』が開かれます。これこそが最大の成果であり、私が市長としてやってきた意味だったのかもしれません」

 ──今年は市長選もありました。

 「満足な政策論争ができなかったことが残念でした。本来、選挙とは、経済全体をどう回すか、財政をどう維持するか、福祉をどう行き渡らせるかという『本質的な政策論議と、その優先順位』を競うものだと思っています。そうした中で、『市民のために、次の世代のために、何が出来るのか』という想いは、十分伝わったのではないかと思います。そして信任をいただけたということは、その信念が通じたのだと思っています」

 ──日産自動車追浜工場での車両生産終了という衝撃的なニュースが駆け巡りました。

 「企業の経営判断に市が介入することは控えるべきだと思っています。ただ、社長には、地域経済への配慮は、強くお願いしています。特に心配なのは、従業員と出入りの事業者への影響です。幸い、サプライチェ―ンは市内に少なく、従業員の方も、もし辞められるのであれば、是非お雇いしたいという声を、市内の事業者からいただいております。私は、この状況を『ピンチはチャンス』だと捉えています。最先端の研究施設や、新たな産業拠点としての引き合いは必ずあると思っています。日産さん自身も、ふ頭や研究所、テストコースは残すとおっしゃっています。野球部もマリノスも同様です。だから私は決して、悲観していません。時代の大きな流れの中で、必ず次の波は来るものと確信しています」

 ──明るい話題では、横須賀と縁のある小栗上野介忠順を主人公にした大河ドラマの発表がありました。横須賀への注目も高まりそうです。

 「小栗公の偉業である横須賀製鉄所建設などに、ついに光が当たると思っています。これまで『逆賊』扱いされてきた小栗公の名誉回復に加え、日本の近代化の礎が横須賀にあったことが全国に知れ渡る絶好の機会になります。観光誘客の大きなチャンスでもあります。来年からの放送に向けて、今年から戦略的に仕掛けていきます」

 ──今日的な課題への対応について伺います。物価高対策として、全市民に現金6千円を給付する考えを示しました。これの意図するところはなんでしょうか。

 「政策の趣旨を考えると、最適解だと思っています。現在の物価高は、特定の品目に限られたものではありません。現金給付であれば、あらゆる購入品に使うことができますし、あまねく市民に活用いただけます。可能な限り早い時期にお届けしたいと考えています」

 ──あらゆる業種で人材不足が深刻化しています。市としての手立てはありますか。

 「現在、縁あって、ネパール国のバラトプル市との連携を進めています。ネパールの方は真面目で勤勉、家族を大切にし、年長者を敬う文化を持っており、日本人との親和性が非常に高いと思っています。横須賀市としては、単なる労働力不足の穴埋めではなく、共に歩みを進める市民の一人という考えでありたいと思っています。更には、相手国の発展にも貢献できる互恵関係に成長させることができれば最高です。ネパール国は、水道や下水などのインフラがまだ不十分ですのでネパール国の若者には横須賀で技術を学び、それを母国に持ち帰って活かしてもらう。そのような共生の仕組みづくりを思い描いています」

 ──市長はご自身の過去を「50歳まで失敗ばかりだった」と隠さずに発信されています。

 「全くの事実です。選挙に敗れて、立ち上げた事業でも失敗続き。いわゆる『社会のレール』から外れっぱなしの人生です。あえてそれを語るのには理由があります。今、不登校や社会になじめなくて苦しんでいる多くの方たちがいます。そうした人たちに『慌てなくて大丈夫。何度でもやり直せる』って伝えたい。私は市長として、絶えずこのメッセージを発信しています。ロックバンドでステージに立って歌うのもそのためです。これからも『愛』と『ロック』で、この街に一隅を照らしていきたいと思っています。ただ、それだけです」

出口三浦市長教育 海業 対話を軸に未来へ舵

 -─就任半年、市政運営の手応えや課題は。「掲げた政策は修正を要するものもありますが、着実に実行していけると手応えを感じています。また、当初見えていなかった課題は、市内公共施設の建て替えや改修・修繕が必要な案件が想定以上に多いことです。財政面などの課題はありますが、公共施設の修繕など、政策に掲げていなくても自治体として当然やるべきことを実行し、かつ掲げた施策を堅実に進め、『市民とともに支え合える魅力的なまち』を目指します」

 --市民との対話や情報公開、住民自治の推進についての考えは。

 「三浦市の魅力を発信するためにYouTube公式チャンネルを開設し、11月には初となる定例記者会見を実施しました。その様子もYouTubeで配信することで、市政情報を直接、皆様にお伝えさせていただきました。市公式SNSの発信も、市民に伝わりやすい内容にするためにさらなる工夫を施していきます。今後は、市の重要事業を発信し、皆様の声を伺う場として『市民懇談会』を定期的に開催します。前向きな対話を重ね、行政と市民の相互理解を深めていきます」

 --教育・子育て支援のビジョンは。

 「教育関連の政策については、教育委員会との丁寧な議論と合意形成が不可欠です。小学校の統廃合計画は、当初反対姿勢でしたが、保護者との対話の中で、一学年の児童数が少なくなり過ぎた場合の『子どもの社会性育成』を懸念する声が多く寄せられました。教育委員会と共に意見を丁寧に聞き、最適に判断してまいります。給食費無償化は国の動向を見極めつつ、恒久財源をどう確保するかが課題です。すべての子どもが教育にアクセスできるよう、不登校対策の充実や教員の負担軽減を含めた教育環境整備に力を注ぎます。要望の多い『子どもの居場所づくり』も、南下浦コミュニティセンター等の公共施設活用を含め検討を進めていきます」

 --新海業プロジェクトの進捗と成果目標は。

「三崎漁港周辺の魅力を高める『新海業プロジェクト』については、昨年7月31日に市との協議内容を反映した事業計画(案)を受理しました。水産庁、神奈川県との協議を着実に進め、関係事業者の皆様と合意形成が図れるよう丁寧に説明してまいります。特に、プロジェクトの根幹である荷捌施設周辺の利活用と、うらりマルシェの今後のあり方について協議を進めていきます。二町谷地区多目的活用事業用地での海業プロジェクトも、現在、エスパシオミサキマリンリゾート株式会社で、施設整備の基本計画作成スケジュールが検討されており、今後、報告を受ける予定です。三崎漁港全体の魅力を高め、海業による地域活性化を推進していきます」

 --議会や関係団体との協力体制について。

「まず、議会に対しては、丁寧な説明や議論を通じて合意形成に努めたいと考えています。三浦市を良くしていこうという思いは同じですので、議会の声にはしっかりと耳を傾けていきます。各種団体とも平時のみならず災害時も見据えて協調し、引き続き良好な関係を維持できるよう努力していきます」

 --新年の見通しを。

「今年度は第5次三浦市総合計画の開始年です。将来像は『ともにつくる 支え合いの輪が広がる 海とみどりの都市 あたらしいみうら』。これを掲げ、『教育と子育ての先進自治体』『徹底した情報公開と住民自治のまち』『高齢者にやさしいまち』といった政策を中心に、未来への希望を形にしていきます。子どもや孫の世代、その先の世代まで三浦市が住みやすく魅力的なまちであり続けるために、顔の見えるまちにしたいと考えています。そのために、行政が市民のニーズを的確に把握し、必要な情報を適切に発信していく。そして施策の実行や積極的な発信を通じて、市民により信頼いただける行政を目指していきます」

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