JR北鎌倉駅沿いのトンネルについて、鎌倉市と地元自治会、地権者、学校関係者らが話し合う「北鎌倉駅裏トンネルの安全対策協議会」が5月29日、山ノ内公会堂で開催された。市はこのなかで、トンネルの構造評価などを第三者機関に改めて依頼したことを明らかにした。調査結果は8月中旬までに明らかになる見通しで、市はこれをもとに恒久的な安全対策のための工法を検討、決定していくとしている。
第8回となった同協議会では、「岩の剥落等により、利用者に影響が及ぶ可能性が高い」とする神奈川県都市整備技術センターの調査結果をもとに4月28日に同トンネルを通行止めとした経過について、市から説明が行われた。出席者からは「本当に危険ならば、もっと早く通行止めにするべきだったのでは」などの意見が出された。
また、これまで同トンネルを通学に利用していた大船高校の生徒らのため、北鎌倉駅ホームの大船側にICカードを使用できる臨時改札を設けることについて、JRの同意が得られたことが報告された。早ければ6月8日にも開設されるという。時間は午前7時30分から8時30分までの予定。
今後は小学生や障害のある人がホームを通行できないか、などについても協議するとした。
「最高権威」に依頼
市はトンネルの構造や安全性について第三者機関の評価を確認するため、一般社団法人日本トンネル技術協会に調査を依頼したことを明らかにした。同トンネルでは、2005年度と13年度の2回、市が民間業者に委託し、構造調査などが実施されている。しかし保存を求める市民から「トンネルの脆弱性を強調しているのでは」といった疑問が出されていることから、松尾崇市長が2月議会で再調査について発言していた。
調査は6月から7月に行われ、8月中旬までに結果が明らかになる予定。市都市整備部では「協会はトンネル工学における日本の最高権威であり、この結果をもとに安全対策を進めたい。調査により保存と安全対策が両立できるという結論が出れば、そうした工法も検討する」とした。
安全と景観の両立訴え
景観や史跡としての重要性から、同トンネルの保全を訴えている市民団体「北鎌倉緑の洞門を守る会」(北鎌倉史跡研究会)は6月1日、住民集会を開催した。
当日は地元住民ら約100人が出席。同会会員が行った情報公開請求や市への公開質問状の回答から「市は崩壊の危険から安全対策の必要性を主張していたのに、通行止めにした理由は岩の剥落。危険の中身が変わっている」「開削をきっかけに北鎌倉の開発が進むのでは」などの意見が出された。今後については、根を張る樹木などを伐採、ひび割れを補強するなどの緊急対策を実施した上で「安全と景観保全の両立を図り、通行止めの早期解除を」と訴えた。
また5月8日に同会会員とともにトンネルを調査した早稲田大学社会環境工学科の小泉淳教授による報告が行われた。小泉教授は「樹根によるひび割れ等は早急な対策が必要」とする一方、「絶対安全と言い切ることはできないが、構造的には市が主張するように脆くないのでは」といった見解を示した。
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