津波避難ビル 河川周辺まで範囲広げ、急ぎ協定を デスク・レポート
▼東日本大震災の発生を受け、落合克宏市長の肝いりで8月から開始された「津波避難ビル」の公募。これまでに八重咲町の事業所ビルが、緊急時の一時避難場所としてビル共用部を地域住民に開放する協定を結んだほか、交渉継続中の案件はあるものの新たな締結には至っていない。公募の受付は明日30日をもって、一旦区切りを迎える。「津波避難ビル」の指定対象地域は相模湾を臨む花水台や幸町、代官町などJR東海道線以南で、約4万人の市民が居住。新耐震設計基準を満たす鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造3階以上などが条件で、該当するビルは約400棟(実際に避難可能なビルは約300棟)を数える。協定締結後は「津波避難ビル」であることを示すシールがビル入口のガラス面に張り出され、避難の際に破損した部分については修復費用を市が負担する。市では公募期限後の10月以降も地元自治会等と連携し、引き続き該当ビルへの働きかけを行っていく意向だ。
▼落合市長は、9月市議会定例会に自らの給与を平成25年度末まで50%削減し、同額を市の防災対策費用に充てる議案を提出。議会の了承を得た。選挙公約に掲げていた案件だが、防災対策に取り組む市長の姿勢には敬意を表したい。”身銭”を切ってまで獲得した予算枠だけに、有効活用されることに期待したいところ。「津波避難ビル」の指定もまた、市長がマニフェストに掲げた項目の一つ。いつ襲来するか予測できない津波に備え、対策を急がなければならない。協定締結が進まない背景には、マンションなどの集合住宅は居住者や管理組合との調整に時間を要すること、商業ビル・事業所ビルでは24時間対応が難しいことなどが挙げられている。
▼平塚市は南側が相模湾に面するほか、相模川から金目川までの間は市北端部まで平野が広がっている地形だ。先日、列島各地を襲った台風15号は相模川を危険水域まで増水させ、一部の周辺住民を一時避難させるほどの猛威を振るった。大震災を教訓にすれば、「遠くより高く」が水害避難の鉄則。市南部エリアと並行して、河川周辺エリアにおける避難ビルの指定も急いで頂きたい。落合市政には、防災対策を最優先課題とする使命があるはずだ。
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