港北区 文化
公開日:2026.07.16
岸根囃子連 地域に響く伝統の演奏 「好き」楽しみ 次代へつなぐ
江戸時代から岸根町に伝わる郷土芸能「岸根囃子連」。地域に根ざし、1972年に「新稽古」を始めてから55年を迎え、6月に約100人が参列して記念式典が開かれた。コロナ禍などを乗り越え、現在は約30人の会員が親子や孫の世代まで一緒に舞台に立っている。地域で脈々と受け継がれる伝統の姿に迫った。
同会は現在、地域に欠かせない存在として多岐にわたる活動を展開している。毎週土曜日の夜に行う稽古に加え、大晦日には杉山神社での除夜祭、続けて元旦祭でお囃子を披露する。特にお正月の「獅子舞巡行」は、町内の希望する家庭を回って1年の無病息災を祈念する恒例行事だ。
さらに、地域の餅つきや盆踊り大会、敬老を祝う会から、近隣の小中学校での体験学習、新横浜でのイベント出演、他町の神社での御祭礼まで足を運び、年間を通して地域のさまざまな場面を活気づけている。
かつては継承者を「地元の長男のみ」とする暗黙の了解があったが、時代の変化とともにその枠組みを大胆に撤廃した。昨年から舵を取る伊藤武夫会長(83)=人物風土記で紹介=は「保護者の送迎を条件に幼稚園児を受け入れたら、親御さんも夢中になって残ってくれた」と笑う。この柔軟な対応が、今の活気ある会の礎となっている。
55年前に新稽古を立ち上げた10人のうち、現在残っている師匠(五代目師匠連中)は5人。その中のひとり、浜田正二さん(82)は囃子連を「人生そのもの」といい、お囃子を「いつまでも完成形の無い奥深さがおもしろい」と評する。横溝一則さん(72)は「日本の文化は日本人が守るもの。使命感や郷土愛が大切」と、地域の伝統を受け継ぐ意義を静かに語る。
過去には横浜文化賞を受賞し、海外でも演奏を披露するなど、輝かしい実績も残してきた。長く続いてきた秘訣について伊藤会長は「地域の方々の理解が一番。そして後世に残さなければという義務感ではなく、皆がお囃子を好きという純粋な気持ちが継続につながっている」と目を細める。同会では現在も新たなメンバーを広く歓迎している。自然体で楽しむその情熱が、これからも未来の世代へ伝統の音色を響かせていく。
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