神奈川県は10月1日から自転車損害賠償責任保険などヘの加入を義務化した。横浜市も啓発を行っているが、アンケートによると市内加入率は約半数にとどまっているのが現状。市や関係団体は必要性の周知を一層強化する方針だ。
義務化されたのは自転車により歩行者などをけがさせたり、死亡させた場合に損害を補填できる保険への加入。近年、全国的に自転車事故で高額賠償事例が増加していることから、県は事故発生時の被害者救済や加害者の負担軽減のため条例を制定。その中で義務化を定めた。保険は自動車保険などの特約で自転車の保障が含まれる場合も認められている。
条例では自転車の利用者はもちろん、未成年の場合は保護者の加入を求めている。また、業務上で自転車を利用する企業などの事業者も対象となるほか、小売店は顧客に対する保険加入状況の確認や保険に関して情報提供することが義務付けられている。しかし、いずれも違反での罰則は設けられておらず、実効性を疑問視する向きもある。
啓発も普及進まず
横浜市は市交通安全協会などと連携し、自転車の安全利用に向けて県の条例制定前から啓発を行ってきた。市道路局交通安全・自転車政策課では、ホームページや公共交通機関、自治会町内会を通して周知。しかし2017年のアンケートによると加入率は約半数にとどまっている。同課の担当者は「保険が役立つのは万が一の時なので、必要性を感じづらいのかもしれない」と話す。
一方で同協会は今年8月から個別に自転車販売店を回るなど、周知に奔走する。16年からは損害保険ジャパン日本興亜(株)と連携した「ハマの自転車保険」を提供するが、加入者数は今年8月末時点で5290人。同協会の担当者は伸び悩む理由を「自動車や二輪車と比べ、大事故は起きないという認識の人が多いのでは」と説明するが、同保険では今年7月までに53件の保険金の支払い事例が発生している。同協会の担当者は「義務化をチャンスとして普及を進めたい」とし、周知に努めていく考えだ。
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