区内の土を使い、作品作りや陶芸教室を行う 山口 幸文さん 戸塚町在住 69歳
思い出の土を作品に
○…40年以上にわたり、戸塚駅前で陶芸家として活動し、教室も行う。形成した陶器に色を付けるための釉薬作りにおいて、戸塚駅再開発工事で出てきた不要になった土を取り入れた。通常は陶芸に不向きな土を「戸塚は生まれ育った場所。思い出にね」とあえて使用する。
○…材木屋の次男として生まれ、幼い頃から木や金具を使ったモノづくりを行っていた。陶芸と出会ったのは、高校卒業後の浪人生のころ。デパートで行われていた展覧会がふと目に留まり、その後の人生が決まった。「木とは違いぐにゃぐにゃの粘土から物を作ることに魅力を感じました」と振り返り、芸術大学で陶芸を専攻。卒業後、戸塚に戻り実家の倉庫があった現在の地で開窯。生活に溶け込む作品を作り続けてきた。「釉薬を作る際に調合する割合を少し変えるだけで全く別の色になるのが陶芸の魅力の一つです」
○…子どもの頃は絵を描くことが好きで、鯉など魚の絵をよくかいていたという。「日常にあるものをなんとなく書いていました」と飾らず、常に自然体。生徒に指導する際にも、あまり口出しなどはせず、それぞれのペースを大事にしているとか。そのかいあって、約30人の生徒の中には40年前の教室開設当初から続けている人もいる。「気楽に楽しんでほしい。居心地の良い場所でありたいですね」
○…区内の小学校で陶芸を教えることもあり、「母校を思い出してほしい」という思いから、グラウンドの土を使った卒業記念品づくりも手伝っている。また、自身の今後の活動については、「自分のペースで見た人の心がなごむような作品を作っていきたい」と静かに語る。優し気なその表情が温かみのある作品にもにじみ出ている。
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