横浜薬科大学の田口真穂准教授らがこのほど、薬剤師が薬物治療における有効性と安全性を図るための研究成果を発表する「ポスター優秀賞」で最優秀賞を受賞した。准教授らは、地域の歯科医師と協力して口腔内乾燥に関するデータをまとめ、高評価を得た。
薬剤師の調査・研究活動への意識や質の向上を図ることを目的に、(公社)日本薬剤師会の学術大会の場で行われる同賞。日本薬剤師の大会では最大規模であり、全国から薬剤師など1万514人が参加。提出された演題の中で、学術性や新規性、将来性など総合的な観点から審査がされる。通常はA0ポスター一枚に研究データなどを簡潔にまとめ、口頭説明なども併せて発表するが、今回は新型コロナ感染防止の観点からWEBでのスライドショー発表となった。
地域の歯科医師と連携
田口准教授らの研究名は「高齢者の口腔内環境に多剤併用が及ぼす影響―多職種が連携して安全な薬物療法に取り組むために―」。発表者は田口准教授のほか、原宿わたなべ歯科診療所の渡邉仁史院長、歯科さめじまの鮫島佳子院長、同大の山田博章教授など。約3年前に泉区の地域包括ケアのイベントで田口准教授と渡邉院長が出会ったことで始まった研究だ。
渡邉院長は臨床の現場で、ポリファーマシー(多種類の医薬品の併用/多剤併用)が口腔内乾燥を引き起こしていると推察。しかし「診察で忙しく研究ができない」という悩みがあったことから、田口准教授らと一緒になって取り組み、准教授や学生らがまとめた。
研究では、高齢者の多剤併用が口腔乾燥感の増加や口腔カンジダ症のリスクを高めることを示唆。さらに高齢者は自覚症状がなくても口腔乾燥をしていることがあるため、薬剤師は口喝リスクが高い薬剤の中止や変更など、内科医や歯科医など多職種で連携して安全な薬物療法に取り組むことが望ましいと推奨している。田口准教授は「昨年も賞をいただいていたので驚いたが、大変光栄。病気でなくても地域の薬局を気軽に使ってもらえれば」。渡邉院長は「長年疑問に感じていたことに結果が出せて誇りに思う」と語った。
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